会社が破産した後に会社の経営者は、どのような道を歩むのでしょう。
引退をするしかないのでしょうか?
今日のブログは、破産後の再起業について、考えていきましょう。
中小企業の社長の方に多いと思うのですが、経営者として、会社に責任を持つために、会社の連帯保証人になっておられる場合があります。
社長が会社の連帯保証人になっていた場合、会社の倒産とともに、社長個人の財産も
会社の債務を支払うために失ってしまうことになります。
多くの金融機関などで事業資金の借入れを行ったりするときには、会社の連帯保証人となることが融資の条件となっている場合があります。
会社が破産手続きに入ると会社の財産を清算することになるので、連帯保証人の社長の財産も当然返済に組み込まれるのです。
なので、会社の破産手続きと同時に自己破産手続をおこなうことになります。
それでは、会社を倒産させた社長は、会社を破産させた責任(欠格事項)により、再び起業することができなくなってしまうのでしょうか。
社長として、再起を図ることができないのでしょうか?
答えはNOです。
会社法には、経営者になることについて破産者は欠格事項にはなっていません。
何回も会社の倒産や事業の失敗を繰り返しながらも、見事に返り咲き活躍している人も世の中にはおられます。
会社が倒産せず、社長個人が自己破産した場合した場合は、会社法上の欠格事由で取締り役を解任されるのではなく、民法上の委任契約の終了の規定に基づき、取締役ではなくなるのです。
ですので、自己破産をしたから、経営者として再起を図ることができないということは
ありません。
しかし、当然ですが、破産をするということは、債務を消滅させることですので、周囲の関係者に多大な迷惑をかけることになり、信用を失ってしまいます。
例えば破産してからしばらくは銀行から融資を受けることは出来なくなります。
クレジットカードなども作れなくなります。
1度破産をしてしまうと、暫くは、経済的に不利であるということは再起を図るうえで
大きな足かせとなるでしょう。
それから、自己破産とは、破産者のすべての財産を取り上げる手続きではありません。
差し押さえ禁止財産というものがあり、
例えば、
・少額の現金(99万円以下)
・生活必需品(衣類など生活に必要なもの)
・食料品
・業務に関係する器具など
これらは、破産者の最低限度の生活を守るために差し押さえ禁止の財産となっています。
しかし、これらの財産で、事業を起こすのは、困難であることを知りましょう。
まずは、自分の生活を安定させることを優先しなければ、新たなチャレンジは出来ないからです。
会社が破産してもまだ余力のある人向けの話
会社の倒産情報は金融機関で共有されるので、当然、会社の代表たる取締役(経営者)
にも市中の金融機関では事業融資を考えてくれることはありません。
会社が破産しても、まだ新しい事業を起こすだけの余力のある人は、
日本政策金融公庫や信用保証協会の融資を利用して、新たな事業を起こすことも一考です。
例えば、日本政策金融公庫では「再挑戦支援資金」「新創業支援制度」などの融資制度が用意されています。
以下に、廃業歴などがある方向けの「再挑戦支援資金」についての要件をしるします。
- 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
- 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
- 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること
もちろん、しっかりとした事業計画や、収支の見込みなども含めた、将来有望な事業であると、融資担当者に認めてもらわなければなりません。
今まで見てきた通り、会社が倒産・破産してしまったとしても、あきらめなければ再起は可能です。