成年後見人が破産したらどうなるのか

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今回は、成年後見人と破産のお話です。

さて成年後見の制度も少しずつ定着しているようで、認知症の親御さんがいる場合、子どもさんが成年後見人に就任するケースも時折耳にします。

成年後見人は誰でもなれるわけではなく、成年後見人に就任できない人の中には「破産者」も含まれます。

え?そう簡単に破産なんかしないでしょ?という声も聞こえてきそうですね。確かに、破産なんて身近なところで聞くことは少ないかもしれません。でも、自分は絶対破産なんかしない、とも言いきれないのです。

今回は、個人情報に配慮したうえで、親族経由できた相談をご紹介します。

散財しなくても負債を抱えることがある

「親が認知症で、長男が成年後見人になったんだけど、その長男が失業したらしいの。本人はショックでメンタルも体調も崩していて、再就職がなかなかうまくいかないのよ。このままいくと自己破産になっちゃうのかしら」

相談内容はこんな感じです。好き好んで失業する人はいませんし、ショックのあまり心身のバランスを崩すのも理解できます。これは決して珍しい話ではありません。

また、認知症になられる親御さんの年齢を70代、80代と考えた場合、その子どもさんは40代、50代、の方が多いのではないかと思います。住宅ローンなどを払っている人も多いことでしょう。背負っているものが多い年代とも言えます。そんな状況の時に失業したらどうなるでしょうか。

さらに40代、50代になると、体の不調が見つかることも増えてきます。「経過観察で大丈夫」「気をつければいい」程度の不調であればよいのですが、入院や手術が必要になることもあるでしょう。体の具合を悪くした場合にはどうすればよいか。心配のし過ぎもよくありませんが、何らかの理由で自分が働けなくなったら…ということを考えておく必要があるかもしれません。

すぐ裁判所に相談を

成年後見人が負債を抱えたり、生活が苦しい場合、裁判所が金銭的に助けてくれるわけではありません。また体調不良の場合でも、即日何かしてくれることは期待できないでしょう。

しかし成年後見人は家庭裁判所が選任します。また成年後見人の解任や交代も、家庭裁判所に対して申立を行いますので、成年後見人の辞任や交代についての相談を行うことは可能です。

身近なところで交代できる相手がいればベストですが、そうでない場合には、裁判所が探してくれるケースもあります。破産等はしないほうがよいですが、万が一の場合、早めに相談されることをお勧めします。

行政書士が自己破産をしたらどうなるの?

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今日、悲しい出来事がありました。

行政書士になった時から、よき先輩としてお世話になっていた先輩行政書士が、行政書士を廃業するニュースが飛び込んできたのです。

行政書士には定年がないので、70代、80代の方も活躍されており、そういった大ベテランの先生方が引退されるのは、これまでも見てきました。

しかし今回はそうではありません。この方はまだ50代。

事務所の経営が芳しくない中、何とか頑張ってきたものの、病気が見つかってしまい、負債を払いきれずに自己破産をすることにしたというのです。

行政書士の欠格事由

行政書士法という法律があるのですが、その二条の二には「欠格事由」が書かれています。

要するに「こういう人は行政書士になれません」という決まりですが、その中に「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」も該当するのです。悲しいことですが、法律で決まっている以上仕方がありません。

「お金がない」「経済的に苦しい」というお客様にはできるだけ安くしていたことを知っています。優しい人なんです。しかしその一方で、行政書士として自分の事務所を存続させていくのも仕事です。そして事務所を維持するには、それなりの経費がかかります。

自分も含め、多くの行政書士は、報酬をどうするか、経費をどう抑えるか、日々考え試行錯誤しています。きっと試行錯誤したもののうまくいかなかったのでしょう。

でも、もう一度行政書士になりたいと思う場合、手段がないわけではありません。今、病気で弱っている状態なので、まずは休んで体をしっかり治してもらうことが先決ですが、個人的にはもう一度行政書士になってほしいと思います。 

 

破産すると制限を受ける資格いろいろ

ちなみに破産した場合に制限を受ける資格は、行政書士だけではありません。弁護士や司法書士も同様です。

しかし国家試験の合格が取り消されるわけではないので、所定の要件を満たせばまた登録が可能です。

今回調べて初めて知ったのですが生命保険の募集人や、警備員などの職業にも従事できなくなるようです。

 

出来れば破産する前に手を打とう

これは行政書士に限った話ではありませんが、破産なんてしないほうがいいと思っています。できれば破産するまでぎりぎりの状態で頑張るのではなく、そうなる前に資金繰りを考えたり、借金を整理するほうが良いのです。

借金はしないですめば一番ですが、そうもいかないときもあるはずです。お金を借りる場合には、できるだけ利息が少なく済むものを選んだり、それらの情報収集も必要です。

先輩行政書士が、また行政書士になる際には、できるだけ力になりたいと思います。

 

中国では自己破産ができないって本当?

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仕事の都合で中国に住んでいる友人が一時帰国し、久しぶりにランチを楽しんできました。友人が撮影した写真を見せてもらったり、お互いの近況報告がメインなのですが、少し気になる話を聞いたので、今日はそんな話を書いていきたいと思います。

中国では自己破産ができないの?

「中国では、企業に対する破産法令はあったんだけど、個人に対する破産の制度はないみたいだよ」

お互いの近況報告をしながら、私が破産に関するブログを書いていることを話したところ、友人からはこんな答えが返ってきました。

日本だけではなく中国にも、お金に困る人はいると思うんですけどねえ。そんな時、みんなどうしているんでしょう。不思議に思ったので聞いてみました。

「じゃあ、経済的に苦しくなったり、借金を抱えたりした場合、中国ではどうするの?」

「私の知り合いにもいたけど、闇金みたいなところにずいぶんお金を借りていたみたいだよ。そしてついに夜逃げしちゃった。その先はわからない」

「そうなんだ、日本では借金が増えてしまったり、生活が苦しくなった時に相談できる公的機関があるし、自己破産を考えたり借金を整理する場合には、弁護士や司法書士のサポートも受けられるけど、中国にはそういう制度はないの?」

「少なくとも私は知らないよ。聞いたことがないね。そういう制度があれば、夜逃げする前に何とかできそうだよね」

中国と日本、制度が違うようですね。

深セン経済特区自己破産条例のお話

さて友人と別れた後、中国の自己破産成語について知りたくなったので、少し調べてみることにしました。

最近まで自己破産制度は設けられていなかったのですが、2021年3月より「深セン経済特別区自己破産条例」という条例が施行されています。

これまで制度そのものがなかったわけですから、条例が施行されたこと自体は大きな一歩だと思いました。

しかしこの条例、使える場面が限られています。最初の「深セン」とは、深セン特区という場所のことで、まずこの深セン特区に住んでいる人でなければ、対象にならないのです。

今後、中国国内の別の場所でも、自己破産条例ができていくのでしょうか?それとも法律できちんと整備するのでしょうか。どんな制度になっていくのか、気になりますね。

終わりに

今回は、中国の自己破産制度について少しだけお話ししました。

聞いた話によれば、中国では借金苦による夜逃げや自殺も多いらしく、夜逃げの場合には、家財道具だけでなくトイレの便器なども持っていってしまう人もいるそう。

賃貸住宅の場合には大家さんも迷惑しているのだとか。これでは困りますね。

一日も早く制度が整うことを願うばかりです。

自己破産したら旅行には行けるの?

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さて「自己破産をすると旅行に行けない」というのは、何となく聞いたことがあるかもしれません。しかし例外なく旅行に行けないというわけではありません。今回は自己破産と旅行について書いていきます。

自己破産前の旅行

自己破産前には、特に制約を受けることはありません。旅行はどうしてもお金がかかるので、自己破産を考える経済状況であれば、できるだけ金を使わないようにした方がよさそうですね。

 

もし自己破産をしたいと弁護士に依頼しているのであれば、旅行に行くことについて必ず弁護士に相談しましょう。状況にもよりますが、これから破産をしようという人が旅行でお金を使うことになれば、弁護士や裁判所の心証が悪くなる場合がありますので、注意が必要です。

 

自己破産の手続中は旅行に行けるの?

破産手続中は、原則として旅行に行くことはできません。

これにはきちんとした理由があり、破産手続中は、どんな財産があるか調べ、お金に換えることができるか決めなくてはいけないからです。破産したい本人も当然に、協力しなくてはいけません。

旅行に行かれてしまっては、当然協力は望めませんし、財産を持ち逃げしたり隠したりすることがないように、旅行に行くことは原則として許されていません。また仕事の出張もできません。

どうしてもやむを得ない理由がある場合には、裁判所に許可を申立てる必要があります。

 

自己破産の手続完了後は旅行に行けるの?

自己破産の手続中は、破産する本人も協力しなければならず、旅行に行くことはできませんでした。

しかし破産に必要な手続を終えて、自己破産の手続が完了すると、財産を隠したり処分したりするおそれがなくなります。したがって、旅行への制限を受けることはなくなります。

 

終わりに

さて旅行に行けるようになった場合でも、気をつけなければいけない点があります。それはクレジットカードが作れないということです。

旅行に行く際には、現金以外にクレジットカードを持っていくことは一般的ですし、ホテルやアクティビティの決済は、クレジットカードで行うものも少なくありません。そういった時にクレジットカードが持てないのは、不便ですね。

それぞれ事情があるとは思いますが、旅行は生活を立て直してからの方が良いかもしれません。破産した後は、まずは生活を立て直すことに集中した方がいいでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。

ドイツで自己破産をするとどうなるの?

少し前にこのブログでは、韓国やアメリカにおける自己破産制度についてお話ししました。国によって制度が違うことに加えて、破産した人が生活を立て直せるように助ける方法であることを、ご理解いただけたと思います。

今回はヨーロッパに目を向けて、ドイツの制度がどんなものかチェックしてみたいと思います。

自宅に住み続けられるの?

自宅の差押さえについて、特別に保護する決まりはありません。残念なことですがこれまで住んでいた家は、差し押さえの対象になってしまう可能性が高いです。

例外として住宅ローンの残高が多かったり、家の状態が悪いなど、資産としての価値が低い物件の場合には、差し押さえられないこともあります。

手元に残せる財産はどんなもの?

手元に遺せる現金は、少なくとも1,339.99ユーロとされています。この金額は、扶養家族が増えれば増えるほど、増額されます。

また自宅同様に、高級な家具家電は差押さえられてしまうかもしれませんが、高級品ではない衣類や家具家電、家庭用品、テレビなどは多くの場合、手元に残すことが可能です。

そのほか条件次第で残すことができるものもあります。例えば通勤で使う車や、仕事用のパソコンなどが対象になります。おもしろい点として結婚指輪も原則として手元に残せることです。

仕方がないことですが、クレジットカードは使えなくなり、新たに借金を申し込むことはできなくなります。

再チャレンジを助ける方法はあるのか?

国によっては、破産者が生活を立て直して再スタートを切れるように助ける制度がありますが、ドイツの場合にはそういった再チャレンジを助ける制度は設けられていません。

しかしながら、破産手続後に一定の期間が経つと、貯蓄が可能になります。少しずつ計画的に貯蓄をしていくことが可能です。

最後に

今回はドイツの破産制度についてお話してみました。

最後になりますが、日本では司法書士や弁護士に破産の手続を依頼する人が多いと思いますが、ドイツにも破産手続のサポートを行う役割のカウンセラーがおり、めんどうな資料作成を手伝ってくれます。

有料で利用できるカウンセラーもいますが、公益団体が提供する無料のカウンセラーもいます。こちらは人気が高く数か月先まで予約でいっぱいとのこと。

このあたりは日本でも無料相談や法テラスがあるので、少し似ているような気がしました。人生は何が起きるかわかりませんが、自分の返済能力を超えた借金を抱えないのが一番ですね。本日もお読みいただきありがとうございました。

自己破産をする場合、どこに相談すればいいの?

やむを得ない理由で自己破産について検討する人は、少なからずいらっしゃることと思います。

そんな時、一番最初にあたる壁の一つは「誰に相談すればいいのか」ということかもしれません。今回、自己破産についての相談先をいくつかご紹介してみたいと思います。

 

市区町村の法律相談

多くの市区町村には、定期的に法律相談を開催しています。その多くは無料のため、相談料の心配をせずに利用することが可能です。

気をつけなければいけない点は、制限時間があることと、毎日開催しているわけではないことです。また相談会そのものは無料でも、実際に業務を依頼すれば当然にお金がかかることも覚えておきましょう。

さらには相談時間が30分程度の場所もありますので、あらかじめ自分の話したいないようをまとめて簡潔に話せるようにしておきましょう。

また相談日がいつか、予約が必要かという点も、あらかじめ調べておかれることをお勧めします。

弁護士や司法書士

弁護士や司法書士は、自己破産をしたいと思っている人をサポートするお仕事です。

直接、弁護士や司法書士に依頼する場合、市区町村の無料相談に比べて、より自分にとって都合の良い日程で相談ができます。

さらに相談の時間も多くとってもらえることが多いです。自分にとって相性のいい弁護士や司法書士を選ぶことも可能と言えるでしょう。

その一方、無料というわけにはいきません。それぞれの事務所に報酬基準がありますので、早い段階で報酬を含めた費用がどのくらいかかるのか、聞いておくことをお勧めします。

法テラス

さて、司法書士や弁護士に相談したいけど経済的に苦しい場合はどうしたらよいでしょうか?そんな時のために、法テラスという制度があります。

法テラスは国の制度ですが、費用が安いだけではなく、一定の要件を満たす場合には立替制度も利用できます。

法テラスを使う場合のデメリットは、実際の着手までに時間がかかることです。法テラスの利用には審査があるため、この審査機関中は手続きができないので、待たなければいけなくなります。さらに担当してくれる弁護士や司法書士を、自分から選ぶことができません。

もしかすると破産についてよく知らない人が担当するかもしれないので、その点はリスクと言えそうです。

 

最後に

今回のお話はいかがでしたか?どこに相談するかは、自分自身が決めることです。それぞれ皆様の選択がベストであることを願ってやみません。本日も当ブログにお越しいただき、ありがとうございました。

アメリカで破産するとどうなるの?

 

これまで日本国内での破産制度に注目して、少しずつお話をしてきました。さてアメリカではどうでしょうか?

日本では破産にはどうしてもネガティブなイメージがあります。しかしアメリカでは「やむを得ず経済的に困窮した人を助ける制度」という考え方をする人も多く、再チャンスを与えるという前向きな意義ある制度ともなっているのです。

それではさっそくお話していきましょう。

 

破産するメリット、デメリット

メリットは、ほとんどの債務をゼロにして再スタートを切ることが可能という点です。アメリカで自己破産をする人の中には、予期せぬ病気やけがのために高額な医療費を支払うことになり、やむを得ず破産する人も少なくありません。

健康保険の制度のある日本と違い、アメリカの医療費はとても高額なので、珍しい話ではないのだそうです。そういった方たちが十分な治療に打ち込むための制度でもあります。

その一方でデメリットはあまりないうようです。デメリットと言える「社会的制裁」が特にないのです。強いてあげるなら、自動車や家を買う条件が厳しくなること、賃貸物件がややかりずらくなることがあげられるかもしれません。

 

免責されるもの、されないもの

クレジットカードの負債、担保の入っていない負債は免責されます。さらに家財道具、車も免責されます。一定の要件を満たせば、これまでの家に住み続けることも可能です。一方免責されないものもあります。離婚した配偶者への扶養費、子どもへの養育費、国からの奨学金などは免責されません。また詐欺行為により敗訴した場合の判決や税金も免責されないので、破産しても支払う必要があります。さらにギャンブルでできた負債も免責にはなりません。


破産したことより、その後が大切なアメリカ

今回はアメリカの制度に目を向けてみましたが、いかがでしたか?

もし破産しても、十分な収入があることを証明するなら、自動車を購入するすることが可能になることがあります家を借りたい場合も、補償金を余分に入れたり、家賃を数か月分前払するなどして、支払い能力あることを証明すれば、借りることが可能な物件もあります。

 

日本の破産とはだいぶイメージが違うように感じます。日本の破産と理由が違うので、このあたりは仕方がないのかもしれませんが。この先も日本の制度だけでなく、海外の制度について書いていければと思っていますが、本日はこのくらいにして終わりにしたいと思います。ご訪問いただきありがとうございました。