こんにちは。
相変わらずコロナが猛威をふるっていますね。
このような中、会社の倒産件数も増えているようです。
ところで、会社が倒産するとき、取締役はどんな責任を取る必要があるかご存じでしょうか。
今回は会社が倒産したときに、取締役が負うべき責任の取り方について考えてみようと思います。
会社が倒産するときの理由は様々です。
業績不振が主な倒産理由になることが多いですが、その他にも様々な倒産理由があります。
以下にいくつか例を挙げてみましょう。
・販売不振
・設備投資超過
・連鎖倒産
・信用度の低下
・放漫経営
上の4つの理由は、企業倒産のニュースなどで見聞きすることが多いと思います。
5つ目の「放漫経営」というのは、いわゆる経営の私物化などずさんな経営による倒産を言います。
ひとえに倒産理由といっても様々なものがあります。
どの理由一つとっても、社長の責任が問われそうですが、実際、取締役にはどのような範囲でどのような責任を取る必要があるのでしょうか。
結論を申しますと、会社の倒産により、社長個人にすべての責任が問われることはありません。
つまり、原則として社長の個人資産については法人破産(会社の倒産)の効果は及びません。
破産には、
・法人破産
・個人破産
と大きく2つの考え方があります。
会社が倒産するときに行う法人破産をする場合、会社経営者や従業者個人の資産が法人破産の財産処分の対象になることはありません。
社長の皆さんはまずは一安心といったところでしょうか。
しかし、安心してはいけません。
会社が法人破産を選んだ場合、社長の個人資産に影響を及ぼすことがあります。
それは、会社代表者が、会社の債務の保証人・連帯保証人・連帯債務者になっているときです。
会社がローンを組むときは、社長がその連帯保証人になることが条件となっているケースが多くあります。
いずれの「保証人」も保証の範囲内で、主たる債務者である法人(会社)が債務の履行不能に陥った場合に会社が有する債務を会社の代わりに支払う義務を負うことになります。
会社の負債を会社の「保証人」たる社長個人が支払うことになるのです。
会社は倒産しても、保証人の債務は消滅しません。
もしも、社長も債務を支払うことができなければ、社長個人も自己破産をしなければならないことになります。
社長が自己破産ということになると、クレジットカードが作れなくなったり、銀行のローンなどが組めなくなったり、周りからの信用を失ったりするといった、大きなペナルティーを受けることになります。
長期の借入れなどがある場合、保証人がだれになっているのか、確認をしておきましょう。
以上、見てきたように、取締役や会社代表者は、連帯保証人などの保証人にならない限り法人としての会社の経済的責任を取ることは原則としてない。ということがおわかりいただけたでしょうか。
ここで気を付けなければならないことがあります。
それは、取締役の道義的責任についてです。
一生懸命に会社を経営していながら、やむを得ず会社を倒産させることになってしまった場合でも、会社を倒産させたという責任はしばらく社長個人について回ることを覚悟しなければなりません。
破産を考える前に、債務整理という方法で、会社を立て直す方法もあります。
ただしこれは、会社が利益を出しており、借入さえなければ会社の再建が可能であることが、見込まれている場合です。
この場合は、複数の借金を一つにまとめる、完済の近い債務を返済してしまう(少額の場合)、逆に債務返済の期限を延長してもらう(条件変更)や現金に変えられる資産があれば現金にかえて返済をする、といった方法で債務を整理・圧縮することで会社が再生する可能性があります。
このような状態で会社に利益が出ていなければ、やはり、破産を考えるべきでしょう。