どんなに順調な事業でも、経営を続けていく中で、ピンチになる時期は必ず来ます。
そのピンチを無事に乗り切ることができればよいのですが、残念ながら、そうはならないこともあります。
後継者不足や、資金繰りの悪化、不景気、会社が倒産する理由は枚挙にいとまがありません。
会社が倒産する前に、事業が廃業に追い込まれるまでに、何もせずに運命に身を任せてもしかたありません。
私は、廃業や倒産の相談があるときにはその人にいつも口にすることがあります。
その言葉は「自分の仕事に責任を持ちましょう。」
ということです。
責任の取り方はいろいろとあると思います。
「倒産してしまった。もう終わりだ。」
とか、
「みんなに迷惑をかけてしまう。」
とか、相談に訪れる人は、会社を危機に陥れたことを自分のせいにして、対応することができないままに、再起不能になってしまう人が多いです。
会社が倒産しないように自らが頑張ることも大切ですが、時には人に頼ることも考えることが、経営者の責任ではないでしょうか。
そして、専門家に相談をするタイミングですが、できるだけ早いほうがよいです。
なぜなら、手遅れになる前に対策をねることができるからです。
手遅れになるとは、債務超過をほっておけば、結局は、支払いができず、破産手続きや、特別清算を行わなければならないからです。
それでは、
倒産と破産の違いについて解説しましょう。
倒産と破産の違い
「倒産」は会社が債務超過などにより事実上経営ができなくなった状態のことを指します。
ちなみに法律用語ではありませんので間違わないようにしてください。
「破産」とは会社再建をすべて処分をして事業を終了することで、「清算型」
と呼ばれます。
会社を継続する場合は民事再生や会社更生などの方法があります。この方法を「再建型」と呼びます。
ここでは、「清算型」である、破産手続きについて、その方法を簡単な例をあげて解説したいと思います。
Aさんが経営するK会社の事業がうまくいっておらず、債務超過に陥ったとします。
Aさんはこれ以上会社を存続させることが難しく、倒産を考えています。
このような場合、会社の財産を「清算」をして倒産をすることを考えたいところです
がその場合に「破産手続き」を行うことになります。
では、破産手続きを考えた時に、チェックしたい破産手続きのメリット、デメリットを
解説しましょう。
1.会社の負債がなくなります。
メリット
会社の負債が消滅するため、経営者は債務の返済という心理的負担から解放されます。
デメリット
会社の負債が消滅するということは、債権者の債権に影響が出るということです。
当然、会社の信用、経営者の信頼を大きく失うことになります。
2.個人の負債も消滅
メリット
破産手続きをおこなうと、多くの場合、経営者が会社の連帯保証人になっている場合があります。
会社の破産手続を進めると、経営者が連帯保証人などになっていた場合があります。その場合は経営者の方も同時に個人の破産手続きも進めることになります。
経営者の方の負担も軽くなります。
デメリット
会社の負債がなくなることは経営者にとっても精神的な不安が軽くなるところですが、やはり財産を全部失ってしまうということは、つらいところです。
また、会社に従業員や取引先に多大な迷惑をかけてしまうというデメリットは見過ごすことができないでしょう。
まとめ
会社の業績が危なくなったときに、初めて相談に来られる経営者の方は多いと思います。
しかし、日ごろから、いざというときのことを考えて、準備をしておけば、倒産や破産手続きをしなくてもよい方法もあったかもしれません。
トラブルは起きてから対処するのではなく、起きる前に予防することを経営者の方は心にとどめておくべきでしょう。