破産管財人の仕事内容をわかりやすく解説(2)

こんにちは、行政書士のKです。

 今回は前回の続きで破産管財人の仕事内容について解説をしていきます。

 

破産管財人とは免責許可にも意見する

最終的に債務者の免責を決めるのは裁判所です。

 

しかし破産管財人は裁判所に対して、免責についての意見を述べるとされています。

 

財産調査や面談や説明への協力などもふまえて破産管財人は裁判所に意見を提出するのです。

 

破産管財人とは資産の資金化や配当をする

破産管財人の重要な仕事に申立人の資産の換金があります。
破産手続きでは申立人の一定の資産以外は債務の清算に使われます。

 

債務の清算に使う場合は物そのものでは難しいため、不動産や動産を換金する作業が必要です。

 

換金できる資産をお金に替えることも破産管財人の仕事になります。

 

換金した債務者の資産は破産管財人が平等に債権者に配当します。

 

破産管財人は債権者と申立人の利害を調整する

破産管財人は債務者の資産を換金して債権者へと配当しますが、すべての資産を配当すると債務者が自己破産手続き後に生活できなくなります。

 

しかし債権者にしてみれば「貸したものは返してもらうのが筋。可能な限り配当して欲しい」と思うのではないでしょうか。

 

債権者と債務者には配当や資産の処分をめぐって利害の対立があるのです。

 

破産手続きを申立てた債務者と配当を受ける債権者の利害を、債務者の免責後の生活まで考えて調整することも破産管財人の仕事になります。

 

破産管財人は債務者のためにも事務を行う

破産管財人は債権者の配当に回せる資産を債務者側に回すこともあります。
これは債務者の今後の生活や人生を考えて行うことです。

 

破産管財人は画一的に事務を行うわけではなく、債権者と債務者の両方のことを考えて心情や生活に沿った事務を行います。

 

たとえば、債務者の資産の換金の際に破産管財人は生命保険の解約をすることがあります。

 

生命保険の解約をすると同条件で再び生命保険に加入できるかはわかりません。

 

保険契約の解約払戻金は債権者に配当することもできますが、債務者の今後の人生や生活を考えて債務者側に振り分けることもあるのです。

 

債権者への配当を第一にするというわけではなく、債務者のことも考えて事務処理をするのが破産管財人の仕事になります

 

破産管財人とは債権者集会で報告をする

債権者集会に出席した人たちに破産手続きについて報告することも破産管財人の仕事です。
債権者集会は破産手続きの終盤に行われます。

 

債権者や裁判官、債務者、担当弁護士などが出席する集会が債権者集会になります。
債権者集会は1回だけとは限らず複数回開かれることもあります。

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破産管財人の仕事内容をわかりやすく解説(1)

こんにちは、行政書士のKです。

破産管財人が行う破産手続きの事務とは具体的にどのような内容なのでしょう。


破産管財人とはどのような仕事をするのか、今回と次回の2回にわけてわかりやすく説明します。

 

破産管財人の主な仕事は以下の通りです。

 

破産管財人とは債務者との面談を行う

破産管財人は破産手続きを申立てた債務者と面談を行います

 

破産管財人との面談といわれてしまうと構えてしまうかもしれません。

 

面談は破産に対しての叱責などではなく、申立書の記載内容の確認や書面からは読み取れない事項の確認などです。
破産管財人が破産手続きを進めるうえで必要になる情報収集だと考えればわかりやすいはずです。

 

破産管財人との面談は1回とは限りません。
免責不許可事由が疑われる場合などは、破産管財人が複数回の面談を行うこともあります。

破産手続きを弁護士に依頼しているときは弁護士も同席し、破産管財人と申立人、弁護士の3人で面談を行います。

 

破産管財人とは債務者の財産調査をする

破産管財人は破産手続きの財産管理や資産の換金といった事務を行います。
資産管理や換金などを進めるためには、債務者の財産状況がわからなければできません。

破産手続きを進めるために債務者の資産状況や債務の状況、債権者の顔触れや今までの対応などをあらためて調査します

 

破産管財人とは債務者の免責の調査をする

破産管財人は財産隠しなど、債務者の免責不許可事由がないか監視することも仕事です。
提出された書類に記載のない資産がないか確認することはもちろんですが、破産手続き中にも資産の隠匿が行われないか確認するのも破産管財人の仕事になります。

破産手続き中は申立人宛の手紙は破産管財人が受け取ります。郵便物を通して資産隠しをしていないか確認するためです。

また、隠している資産が郵便の内容からわかることもあるため、隠している財産を探すという意味でも郵便物がチェックされます。破産管財人が郵便物を確認してから申立人に渡すという流れになります。

 

破産管財人とは自由財産についても意見する

破産手続きを終えて免責を受けても、申立人の生活は続きます。生活のためにはやはり一定の財産が必要です。

 

先立つものがなければすぐに申立人の生活は破綻してしまうことでしょう。

 

破産後の生活のために自由財産の拡張という制度が認められています。

 

自由財産を拡張できると裁判所が認めた範囲内で破産後の生活に使える財産を所持できるのです。

 

自由財産の拡張については破産管財人が裁判所に意見します。

裁判所が自由財産拡張を認めること、そして範囲をどのくらいに定めるかは破産管財人の判断が重視されるのです。

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破産管財人とは

こんにちは、行政書士のKです。

 

破産手続きの中で重要な役割を果たすのが「破産管財人」です。

 

破産手続きは申立人(債務者)と裁判所で行う手続きだと思うかもしれません。
実際は破産管財人が選任されて申立人などと協力して破産手続きを進めることになります。

 

今回から数回に渡って、破産管財人とはどのような人なのか、選ばれる条件や仕事内容、面談内容や対策、費用などについてわかりやすく説明します

 

破産管財人とは

破産管財人とは何かわかりやすく説明すると「破産手続きで裁判所や申立人をサポートし事務を行う人のこと」です。

 

破産手続きの申立ては裁判所に行い、手続き自体も裁判所が管轄します。

 

しかし実際の破産手続きは裁判所そのものが動くのではなく、選任された破産管財人が主となって動くのです。

破産手続きは債務の免責を受ける手続きであると同時に、資産や債務の清算をする手続きでもあります。

 

債務や資産の清算をするためには、調査から換金まで細かな事務をいくつもこなさなければいけません。

 

裁判所には毎日たくさんの申立てがあるため、ひとつの破産手続きにかかりきりになることはできないのです。
そのため、破産手続きのために必要な細かな事務は破産管財人に任せられることになります。

 

破産管財人は破産手続きを進めるためにも大切な存在です。
破産を申立てた債務者は破産管財人の事務処理に協力する必要があります。

 

破産管財人が選ばれる条件

破産手続きではすべてのケースで破産管財人が選任されるわけではありません。
破産手続きで破産管財人が選任されるケースと選任されないケースがあるのです。
破産管財人に就任する人にも条件があります。

 

破産管財人とはどのような人がなるのか、どのような破産手続きで選任されるのか、ふたつのポイントをわかりやすく説明します。

 

破産管財人に選ばれる人の条件

破産管財人は原則的にその破産手続きを行う裁判所の管轄にいる弁護士から選ばれます
一般の人や裁判所の職員が破産管財人になるわけではなく、法律の専門家である弁護士の中から選任されるのが基本です。

 

破産手続きは法的な知識がなければスムーズに進められません。
破産手続きの中で債権者とのやり取りや会社の経営状況、債権の契約内容、資産の換金などの行われるため、それらの事務を滞りなく行える知識と経験のある弁護士が破産管財人に選ばれます。

 

破産管財人が選ばれる破産条件

破産管財人が選ばれる破産手続きには条件があります。
破産管財人が選ばれる破産ケースは「管財事件である」「免責不許可事由がある」などのケースです。
破産管財人が選ばれる破産条件について個別にわかりやすく見てみましょう。

 

破産手続きが管財事件である

破産手続きが管財事件の場合は破産管財人が選任されます
反対に破産手続きが同時廃止の場合は、破産管財人は選任されません。

 

管財事件とは、破産手続きを進めるうえでの費用やその他の資産をある程度有しているときの破産です。

 

管財事件の場合は資産があるわけですから、申立人の資産や負債についての事務を行う人が必要になります。
そのため破産管財人が選任されるのです。

 

同時廃止も破産手続きの種類のひとつになります。
同時廃止は破産手続き開始と同時に破産手続きが終了(廃止)するタイプの破産手続きです。

 

破産手続きの費用さえ捻出が難しいようなケースでは同時廃止が使われることがあります。
同時廃止は開始と共に終了しますので、破産管財人を選任しません。

 

仮に選任しても管理や換金するほどの資産がないため、破産管財人にかける費用が無駄になるという理由もあります。

破産手続きの種類が破産管財人選任の条件になるのです。

 

免責不許可事由がある

破産手続きを申立てても必ず債務が免責されるわけではありません。

 

破産の事情や債務の内容などを確認して、免責できると裁判所が判断すれば免責許可となります。

 

反対に裁判所が免責できないと判断すれば免責不許可になるのです。
免責不許可事由があると免責されない可能性が高くなります。

 

免責不許可事由とは財産隠しや財産の損壊、浪費や賭博などです。
免責不許可事由については破産法252条に定められています。

 

たとえば、破産手続きの申立人が財産隠しをしている可能性があったとします。
財産隠しがあれば免責不許可になる可能性があるわけですから、誰かが調査しなければいけません。

 

破産を申立てた人のことも「破産させるべきか」を念入りにチェックする必要もあります
このようなケースでは破産手続きの事務を行う破産管財人の出番です。
だからこそ、破産管財人が選任されるというわけです。

 

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休眠会社のメリットとデメリット

こんにちは、行政書士のKです。

 

休眠会社とすることは、廃業(解散・清算手続き)よりも、手続きが簡単で費用もかからないというメリットがありますが、もう一度休眠会社のメリット・デメリットを確認しておきましょう。

 

休眠のメリット

休眠させる手続きも、事業を再開させる手続きも、どちらも税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所に「異動届出書」を提出するだけで費用もかからないというのが、一番のメリットでしょう。

 

また、休眠期間中は基本的に税金がかかりません。
事業活動を停止していますから、事業所得に課税される法人税、法人事業税、消費税、法人住民税の所得割といった税金はかかりません。

 

さらに、法人の場合は社会保険の加入義務がありますが、休眠期間中は国民年金、国民健康保険に切り替えを行えば社会保険料の負担を軽くすることが可能です。
なお、切り替えに際しては、年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険適用事務所全喪届」を提出しなければなりませんので、ご注意ください。

 

株式会社の場合は、休眠期間中であっても役員の任期満了に伴う役員変更登記が必要で、変更登記等を行わず12年経過してしまうと「みなし解散」とされてしまいますが、合同会社は役員任期がないため、このような「みなし解散」制度が適用されることはありません。

 

休眠のデメリット

休眠期間中であっても納税義務はなくなりませんので、休眠前に未払いの税金がないか確認しましょう。

 

合同会社名義で不動産を所有している場合は、毎年固定資産税もかかります。
また、休眠期間中でも法人住民税の均等割は課税されますので、休眠前に休業届を提出し自治体からの免除、減額を受けられるようにしてください。

 

休眠会社は、事業活動を停止しているだけで、登記上の合同会社は存在したままですから、決算期には毎回確定申告を行う必要があります。

 

会社を休眠させているからといって、完全に放置しておけるわけではないということがデメリットでしょう。

 

休眠会社にするときの注意点

合同会社の事業活動を停止し休眠会社になったとしても、登記上の会社は存在したままですから、原則として税金が発生します。

 

事業活動を何も行っていない場合、事業所得に課税される法人税、法人事業税、消費税、法人住民税の所得割といった税金は発生しません。
しかし、法人住民税の均等割は、会社自体に課税されるものですから、例え事業所得がゼロでも毎年最低額で約7万円の税金が発生します。

 

しかし、休眠届(異動届出書)を提出していれば、自治体によって法人住民税の均等割が免除されたり、減額されたりすることがありますので、しっかりと手続きを行ってから休眠させるようにしましょう。

 

また、基本的に休眠期間中も確定申告(決算申告)が必要となります。
休眠期間中に確定申告を行っていないと、合同会社を復活させようとしたときに、休眠中に発生した税金を遡って請求される可能性があります。
さらに、無申告に関するペナルティとして無申告加算税、延滞税が発生することがありますので、ご注意ください。

 

合同会社を休眠させる前に青色申告で確定申告していた場合、休眠期間中でも2期連続で申告期限内に確定申告を行わないときは青色申告の承認を取り消されます。

合同会社を解散せずに休眠会社とする場合は、休眠前、休眠期間中の手続きをきちんと行うようにしましょう。

 

休眠後に事業を再開させる方法

合同会社を休眠させた後、再び事業を始める場合の方法について説明していきましょう。

 

再開届(異動届出書)の提出

合同会社の休眠状態を解除するために、再開届(異動届出書)を税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所へ提出します。

このときの、再開届(異動届出書)は、休眠させるときに行った手続きと同じです。
再開届も専用の書類があるわけではありませんので、異動届出書の「異動事項等」という欄に事業を再開させる旨と、「異動年月日」の欄に事業を再開する日を記載します。

なお、税務署へ提出する異動届出書の書式は、下記の国税庁のホームページで確認、ダウンロードすることができます。

 

●参考:異動事項に関する届出(国税庁ホームページ)

 

事業再開年度の確定申告

事業を再開させた年度の確定申告(決算申告)を行います。

 

休眠期間中も、毎年度の確定申告を行っていた場合は、特に改めて処理する内容はありませんが、事業所得がないために確定申告を行っていなかったという場合は、各種の確認が必要になります。

 

まず、休眠期間中にお金のやり取りがなかったかを確認しましょう。
事業活動を停止していても、休眠前に発生した売掛金の回収や、減価償却費用が発生している場合があります。
そのようなお金の動きがあった場合は、それらを確定申告で計上しなければなりません。

 

また、税金の滞納などがないかを確認し、滞納が発生している場合は速やかに清算しなければなりません。
税金は、滞納したまま放置してしまうと滞納税が加わるだけでなく、金融機関等からの信用を失うことにも繋がりますので、早めに処理しましょう。

 

また、休眠期間中に確定申告を継続していなかった場合は、青色申告の承認を取り消されている可能性がありますので確認しておきましょう。

 

 

合同会社を休眠させる手続きは、休業届(異動届出書)を税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所へ提出するだけで、費用もかかりません。
事業を再開させる場合の手続も、休眠させるときと同様の手続により再開届(異動届出書)を提出するだけですから簡単です。

 

休眠期間中は、法人住民税の均等割の免除を受けるために、上記手続きをしっかり行い、基本的に毎年確定申告を行うようにしましょう。

 

合同会社の場合、役員の任期がないため、休眠期間中に役員変更登記を行う必要がなく「みなし解散」の制度も適用されません。
ただし、休眠期間中でも納税義務や税務申告義務はなくなりませんので、ご注意ください

 

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合同会社の休眠方法とは?

こんにちは、行政書士のKです。

 

合同会社とは、株式会社、有限会社といった会社形態の1つですが、アメリカ合衆国各州の州法で認められるLLC(Limited Liability Company)をモデルとして導入されたものです。

 

2006年の会社法施行により始まった会社形態で、合資会社、合名会社と並んで持分会社に分類されます。

一方、休眠とは会社の事業活動を停止させた状態のことを指しますが、登記上の会社は存続したままとなります。

 

合同会社として事業を始めたものの、諸事情によって、一旦事業を休止したいという場合もあるでしょう。
事業を再開させる予定が全くない場合は、法務局で解散・清算結了登記を行わなければなりませんが、休眠であれば登記は不要で、簡単な手続きで何年後かに事業を再開させることが可能です。

 

今回と次回の2回に分けて、合同会社を休眠させる手続き方法と流れについて解説するとともに、会社を休眠させることのメリット・デメリットについても説明します。

 

合同会社の休眠手続きと流れについて

合同会社を休眠させるためには、会社の事業活動を停止させた後、本店所在地を管轄する税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所に休業届を提出します。

合同会社を設立した際には、会社の設立届を上記3か所に提出しているかと思いますので、同じ要領で休業届を提出すれば、休眠の手続きは完了です。

 

届出する書類は、一般的には「休業届」「休眠届」などと呼ばれていますが、これらの専用用紙があるわけではありません。
各所に用意されている「異動届出書」という書類に、会社の事業を停止していることを記載して提出すれば大丈夫です。

 

この「異動届出書」の運用は、各自治体や行政機関によって異なりますが、用紙が複写式になっていて、1か所に提出すれば残りの2か所に自動的に書類が届くようになっている場合もあります。
異動届出書を提出する際には、所轄の自治体に確認を行いましょう。

 

解散・清算と休眠の違いとは

合同会社の事業を停止させたいと考える場合、休眠のほかに解散・清算という方法を選択することもできます。

 

解散・清算とは

合同会社を廃業したい場合は、会社を解散させて清算手続きを行わなければなりません。解散・清算にあたっては、法務局への解散登記、清算結了登記も必要になります。

また、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場にも解散届(異動届出書)を提出し、確定申告も行わなければなりません。
これらの解散手続き、清算手続きには、最低でも2ヵ月以上の期間が必要となり、費用もかかります。

 

しかし、将来的に事業を再開させる予定が全くない場合や、休眠中の確定申告等を行うのが面倒という場合は、きれいさっぱりと解散・清算してしまった方が良いかもしれません。
休眠によって、解散・清算手続きを先延ばしにしたいだけという場合も、同じです。

 

事業再開予定があれば「休眠」がおすすめ

合同会社を解散させて清算手続きを行えば、二度と会社を復活させることはできません。しかし休眠であれば、いつでも事業を再開させたいときに会社を復活させることが可能です。

休眠していた合同会社を復活させるための手続きは、休眠させたときと同じように税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所に再開届(異動届出書)を提出するだけです。

 

また、合同会社の場合、株式会社と違って役員の任期の規定はありませんので、休眠期間中に役員の任期満了に伴う役員変更登記を行う必要がなく、「みなし解散」の対象にもなることはありません。

 

このようなことから、例えば経営者自身の体調が悪く一旦事業を休止したい、経済環境などの要因で事業の継続は難しいが将来的には事業を再開させたいといった場合、解散させずに休眠会社とする方が良いでしょう。

 

ただし、費用がもったいない、解散の手続きが面倒そうといった理由だけで、会社を休眠させて放置することはおすすめできません。
休眠期間中も完全に放置できるわけではありませんから、安易な選択は行わないようにしましょう。

 

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自己破産の陳述書の書き方②【例文付】

こんにちは、行政書士のKです。

今日は前回に引き続き自己破産の陳述書の書き方をみていきます。

内容が前回の続きになりますので、まだお読みになっていない方はぜひご覧ください。

 

前回の記事

 

記載内容の例文付きでご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

 

陳述書を作成する時には、どういった内容をどのように記載するのでしょうか。
記載例とあわせて、その記載方法について確認していきましょう。

 

記載内容(3)破産申立てに至った事情

この部分は陳述書を作成するうえで、もっとも重要な部分です。

そのため、まずは例文からご紹介しましょう。

 

 


私、○○一郎が多額の債務を負うに至った経緯は以下のとおりです。

 

①消費者金融A社から借入をした時期
はじめてA社から5万円の借入を行ったのは、平成30年5月になります。

当時、私はそれまで勤めていた会社をリストラされ、次の仕事もすぐに見つからず、貯金を取り崩して生活していました。
しかし、すぐに生活費が足りなくなってしまい、借入を行いました。

 

②その後の経緯について

はじめての借入をした金額は、生活費としてあっという間に使ってしまいました。
その後も仕事を探しながら生活をしていましたが、思うように見つけられませんでした。
そのうちに貯金が底をつきそうになったため、平成30年6月に10万円、平成30年7月にも10万円の借入を行いました。


③現在の状況

現在、借入した金額を返済することができていません。
このように多額の借入をすることとなったことについて、非常に恥ずかしいことだと思っています。
また、それまでの生活の中で、十分に貯金をしておくことができず、生活の見直しもできなかったことに、深く反省しています。


 

 

どうして債務が発生したのか、そしてその債務がどのように増えていったのかを時系列に沿って記載します。

借入をしたきっかけには、会社の倒産や解雇、離婚、詐欺などの犯罪被害、ギャンブルや浪費、そして金銭の貸付などがあります。

 

さらに、その債務について支払不能となった経過や時期について記載していきます。

この時、毎月の収入金額と支払金額については、できるだけ正確に記載するようにしましょう。

 

また、事業者が自己破産に至った場合は、その事業の内容や負債の内容、資産の状況、帳簿の管理状況などを記載します。
事業のために借金をすることは一般的なことですが、支払不能となるきっかけや原因についても記載するようにします。

 

 

 

自己破産の手続きを行う際には、多くの書類を提出しなければなりません。

 

その1つである陳述書は、破産を申立てる人の状況を裁判官にわかってもらうための書類です。

 

嘘偽りなく、ごまかすことのないように記載しましょう。
また、破産手続きは弁護士に依頼する方が多いと思いますが、陳述書を作成した時は、記載内容を弁護士に確認してもらいましょう

 

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自己破産の陳述書の書き方①

こんにちは、行政書士のKです。

今日は自己破産の陳述書の書き方について見ていきたいと思います。

 

陳述書を作成する時には、どういった内容をどのように記載するのでしょうか。
記載例とあわせて、その記載方法について確認していきましょう。

 

陳述書の入手方法

陳述書は、各裁判所からその書式が公表されています。
「破産手続開始・免責許可申立書」の一部となっている場合もあるため、あわせて確認しておくといいでしょう。

 

ホームページからダウンロードできる裁判所もあり、弁護士に依頼する場合も、あらかじめ自身で内容を見ておくことができます。

 

なお、陳述書の書式は、裁判所ごとに定められており、その内容は一致していません。
そのため、必ず管轄の裁判所の定める書式を利用するようにしましょう。

 

なお、以下の記載内容は、東京地方裁判所が定める書式にしたがって解説していきます。

 

記載内容(1)経歴、家族関係

経歴は、過去10年前から現在に至るまでの職歴を記載することとされています。
ただ、この10年というのは、その間に自己破産につながる事情が発生していることを前提にしているものです。

もし、自己破産につながる事情がそれ以前にあれば、その内容について記載することが求められます。

 

また、家族の氏名・続柄・年齢・職業・同居か別居かの区分を記載します。
家計の収支に関係する人について記載することが求められるため、仕送りをしている家族がいれば、その人も記載します。

 

記載内容(2)住居の状況、破産申立費用の調達方法

破産手続きを進めるうえで、住居を賃借しているか持ち家かは、その後の手続きの方法を分ける非常に重要な内容です。

 

そのため、申立てを行う時点での状況を正確に記載しましょう。
賃借の場合には、民間か公営か、あるいは社宅や寮に該当するかも記載するようになっています。

 

破産手続きや弁護士費用は、これから破産しようと考えている人には非常に大きな負担です。
そこで、その費用の調達方法について記載することが求められます。

 

記載内容(3)免責不許可事由

免責不許可事由に該当する場合、原則は自己破産しても免責が認められません。
ただ、自己破産を申し立てた多くの事例では、免責不許可事由に該当しても免責が認められています。

 

陳述書には、免責不許可事由に該当することを記載し、その詳細についても記載する必要があります。
免責不許可事由に該当する行為はいくつもありますが、ここでは主なものを3つご紹介します。

 

最初に記載が求められるのは、資産や収入に見合わない支出がないか、あるいは賭博や射幸行為がないかです。

 

支出の内容として、浪費がある場合は、飲食や買い物、旅行などの中から該当するものを選択します。

 

また、賭博や射幸行為に該当する場合は、パチンコや競馬、株式投資やFXなどの選択肢から該当するものを選択します。

 

さらに、そのような支出をしていた時期や支出の総額、収入の金額などを記載します。

 

 

次に、出資法の規定を超える高い金利での借り入れがないか、あるいはクレジットカードを利用した換金行為がないかを記載します。
このような行為がある場合は、その時期や金額についても記載する必要があります。

 

また、特定の債権者に対して利益を与える行為や、返済時期より前に返済するような行為がないかを記載します。
この場合も、該当する時はその時期や金額を記載します。

 

これ以外にも、免責不許可事由に該当するケースはあるため、その内容や金額について記載が求められます。

 

免責不許可事由に該当することは、決して望ましいものではありません。
しかし、その行為を隠すことは、破産手続きを進めるうえで不利になる行為です。
該当する場合には、正直に記載するようにしましょう。

 

 

記事長くなりましたので、次回も続けて自己破産の陳述書の書き方をご紹介いたします。

それでは、また。

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