2回目の自己破産が認められなかったときの対処法

こんにちは、行政書士のKです。

 

前回説明してきたように、2回もの自己破産は簡単に認められるものではありません。
特に、1回目と2回目の自己破産の理由がまったく同じような場合、2回目の免責が認められる可能性は非常に低くなります

 

このような場合には、自己破産以外の方法で債務の整理を行うことも考えておく必要があります。

はたして、どのような対処方法があるのでしょうか。

 

即時抗告を行う

自己破産の手続きによる免責が認められなかった場合、裁判所に異議申し立てをすることができます
この異議申し立てのことを、即時抗告と言います。

 

即時抗告を行うことで、破産手続きが不許可となった事件について、上級裁判所に判断を仰ぐことができます。

地方裁判所で下された破産手続きの不許可については、即時抗告により高等裁判所でその判断をしてもらうこととなるのです。

 

なお、即時抗告が認められるのは、免責不許可決定が出されてから1週間以内とされています。
この期間を経過してしまうと、どのような事情があっても即時抗告は認められないため注意しましょう。

 

任意整理を行う

過去に自己破産したことのある人が、2回目の自己破産を認めてもらうには、高いハードルがあります。

そのため、自己破産ではない債務の整理方法を選択しなければならないこともあるのです。

 

その時に候補となるのが任意整理です。
任意整理とは、借金の借入を行っている金融機関と直接交渉して、借金の返済による負担を軽減するための方法です。

 

任意整理の特徴

任意整理は、金融機関と直接交渉して、将来支払う利息をカットしてもらうものです。
また、過去に過払い金があった場合には、その過払い金を元金に充当して、債務自体を減らすこともできます。

このようにして返済額を減らし、残った返済金額については3~5年程度ですべて返済するという方法なのです。

 

金融機関と個別に交渉することができるため、特定の債務の支払いだけを減額することができます

たとえば、住宅ローンや自動車ローンについては、金利負担が比較的少なく、交渉してもほとんどメリットがありません。

また、これらのローンについて交渉すると、マイホームや車を保有し続けることができなくなる可能性もあります。

 

そのため、住宅ローンや自動車ローンについては交渉も行わないという選択をすることができるのです。

 

任意整理のメリット

任意整理は、裁判所での手続きを一切行わず、すべて金融機関との交渉によって行われます。
そのため、裁判所への書類の提出など、手続きを行ううえでの負担が少なく済みます。

また、任意整理の交渉を行う金融機関を選ぶことができるのも、自己破産などとは大きく異なる点です。
自己破産の場合は、すべての財産を手放すことを前提に考える必要あります。
しかし、任意整理の場合は残したい財産を残すことができるのです。

 

返済額を減らし、そのとおりに返済を続ければ、金融機関からの督促を受けることはなくなります。
安定した生活を送ることができるようになるのが、最大のメリットと言えるかもしれません。

 

任意整理のデメリット

任意整理は裁判所での手続きではありませんが、その記録は信用情報機関に登録されます
そのため、任意整理後しばらくの間は、クレジットカードやローンの利用ができなくなります。

利用できない期間については、最低5年と考えておく必要があります。

 

また、基本的に利息の支払を減らすという方法であるため、すべての場合にメリットがあるわけではありません。
低い金利で借り入れを行っている場合には、利息を減額してもらってもその支払額は大きく減らないという可能性もあるのです。

 

任意整理は、金融機関との交渉により認められるものです。
交渉すれば必ず認められるというものではなく、あくまで交渉によるものであることは覚えておく必要があります。

 

個人再生を行う

過去に自己破産しているために、2回目の自己破産ができない場合、もう1つの選択肢となるのが個人再生です。
個人再生とは、借金を大幅に減額し、残った借金を3年で返済する手続きです。

 

個人再生の特徴

個人再生を行う際は、裁判所に個人再生の申し立てを行う必要があります。
再生計画について裁判所の認可を受けると、債務の額を5分の1~10分の1にすることができます。

残された債務は5年間の分割で返済する必要がありますが、債務の額が大幅に圧縮されているため、月々の返済も楽になります。

 

なお、個人再生については財産を処分する必要はありません。
住宅ローンについて債務の整理が行われると自宅を手放す必要がありますが、住宅ローン特例により、処分する必要はありません。

 

なお、住宅ローンについては減額されませんが、遅延している返済額の一括返済を免れることができます。

 

また、返済期間を延長して毎月の返済額を減らしたり、個人再生後の住宅ローンの返済を猶予してもらったりすることができます。

 

個人再生のメリット

個人再生を行うと、任意整理の場合より、債務の額を大幅に圧縮することができます
その結果、債務の返済を楽に行うことができるようになるのです。

 

また、自己破産とは違い財産を残すことができます。
特に、マイホームや自動車などの財産については、没収されてしまうとその影響が大きくなってしまいます。

個人再生であれば、これらの高額な財産も問題なく残すことができるのです。

 

さらに自己破産をしようとする場合、免責不許可事由に該当すると認められません。
2回目の自己破産が難しいのも、これが大きな理由となっています。
しかし個人再生の場合、借入の原因について問われることはありません
どのような理由の借金であっても、個人再生の手続きを行うことができるのです。

 

個人再生のデメリット

個人再生の場合、任意整理とは違って裁判所での手続きが必要となります。
そのため、弁護士に依頼する際の費用も合わせると、相応の負担が発生するのです。

 

また、住宅ローンについては督促がありますが、自動車ローンについてはそのような決まりがありません。
そのため、自動車ローンが残った状態で個人再生を行うと、自動車は手放す必要があります。

 

任意整理の場合は、特定の債務だけを選んで手続することができますが、個人再生はすべての債務が対象となります。
そのため、時間がかかっても返済したいと思っている債務についても、圧縮されることとなるのです。

 

【参考】自己破産は申請自体は何回でも可能

ここまで、2回目の自己破産について説明してきましたが、そもそも自己破産の回数についての決まりはありません。

 

そのため、裁判所に対して自己破産の申立てを行うことは、何回でも可能なのです。

しかし、自己破産の申立てを行ったとしても、その申立てが認められるかどうかは別問題です。

 

通常、申立ての回数が増えれば増えるほど審査は厳しくなり、認められない可能性が高くなります。

何度も自己破産できると考えるのではなく、2回目はないものとして自己破産する必要があるのです。


自己破産したことのある人が、もう一度自己破産することも、法的には問題ないことがわかりました。

しかし、自己破産できるかどうかは裁判所が判断するのであり、2回目・3回目となるほど、審査が厳しくなるのです。

 

自己破産した人は、再度自己破産することすることにならないよう、お金の管理をより厳しく行うようにしましょう。
また、再び債務の整理を考えざるを得ない状況になった場合は、自己破産以外の方法も検討するようにしましょう

 

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2回目の自己破産はできる?

行政書士のKです。

 

借金などの債務がある人は、定期的にその返済をしなければなりません。
しかし、中にはその返済に行き詰ってしまう場合があります。

このような場合に、自己破産の手続きを行い支払義務の免除が認められれば、その借金をゼロにすることができます。

 

ところで、過去に自己破産したことのある人が、もう一度自己破産することはできるのでしょうか。
ここでは2回目の自己破産はできるのか、そしてできない場合の対処法はあるのか、解説していきます。

 

2回目の自己破産は1回目よりも難しい

自己破産をすると、破産した人はそれまで抱えていた多額の債務がゼロになります。
一方で、それまで保有していた財産の大半を没収されることとなるため、生活への影響は計り知れません。

また、破産手続によりつくことのできない職業があるため、仕事に影響が出る可能性もあります。

 

ただ、破産手続きの影響は、債権者側にとっても大きな影響があります。
本来であれば返済されていたはずの金額が返済されないまま、債権が消滅することとなるためです。

破産する人を保護するのと同様、債権者についても保護すべきと考えれば、自己破産を何度もすることはできないとも考えられます。

 

しかし、自己破産について規定している破産法では、自己破産をすることができる回数についての規定を設けていません。
そのため、法律上は何度でも破産手続きを行うことができるということになるのです。

 

ただし、法的に制限が加えられていないからといって、1回目と同じように自己破産ができるわけではありません。
裁判所での手続きは、1回目より2回目の方が厳しい条件で審査が行われるのです。

 

2回目の自己破産で免責が認められる条件

それでは、実際に2回目の自己破産については、どのような条件が設けられているのでしょうか。

1回目の自己破産にはなかった、以下の2つの要件がポイントとなるため、該当するかどうかを確認しておく必要があります。

 

2回目の自己破産の条件①7年以上経過している

1回目の自己破産を行い、免責が決定してから7年以上経過していることが必要とされます。
これは、前回の自己破産から7年が経過していない場合、免責不許可事由があるものとして取り扱われるためです。

 

免責不許可となる事実がある場合には、ほかの条件を満たしていたとしても、免責は原則として認められません。

 

しかし、一律にすべての場合にこの規定が適用されるとは限りません。
自己破産に至った経緯にやむを得ない事情があると裁判所が判断すれば、7年経過していなくても認められる場合があるのです。

 

ただ、法律の原則とは異なる判断をすることとなるため、相当の事情がなければ、7年以内に再度自己破産することはできません。

 

認められる可能性がある事例としては、大病により働けなくなって、借金を返済できなくなった場合があります。

 

あるいは、それまで働いていた会社をリストラになり、職を失った場合があります。
このように、自分では防ぎようがなかった事情がある場合には、7年以内であっても自己破産を認められる可能性があるのです。

 

2回目の自己破産の条件②自己破産の原因が異なる

2回目の自己破産では、どのような理由で借金をしたのか、そして借金が返せなくなったのはどうしてかがより問われます。

 

そして、自己破産に至った理由が1回目の自己破産の時と同じ場合は、自己破産が認められない可能性が非常に高くなるのです。

 

特に注意が必要なのは、免責不許可事由に該当する理由で自己破産しようとする場合です。

 

免責不許可事由とは、破産法の規定上、借金をした理由の中で、原則として自己破産が認められないものをいいます。
おもな免責不許可事由には以下のようなものがあります。

 

  1. パチンコ、競馬、競輪などのギャンブルや賭博をするための借金
  2. 株式、先物取引、FXなどの射幸行為をするための借金
  3. 旅行や飲食、高額な買い物などの遊興費とするための借金
  4. クレジットカードで購入したものを転売する行為
  5. 債権者に損害を与えるための借金
  6. 虚偽の説明を行ったり事実を隠匿したりした場合

 

たとえば、ギャンブルで多額の借金をして返済ができなくなった場合、法律上は自己破産が認められないのが原則です。

 

ただ、実際には裁判所の判断で、ギャンブルが原因であっても自己破産を認めるケースは多くあります。

 

しかし、2回目の場合は1回目の自己破産のように簡単には認められません。
一度ギャンブルが原因で自己破産した人が、再度ギャンブルで借金をしていた場合は、免責を受けるのは非常に難しいでしょう。

 

裁判所としても、2回目となる場合は、法律の原則を超えてまで免責を認めるべきではないと考えるのです。

 

また、2回目の自己破産の際に、1回目と同じ理由ではダメだからということで、事実と異なる説明をする人がいるかもしれません。

 

しかし、事実と異なる説明をすることは、⑥の虚偽の説明や事実の隠匿になるため、やはり自己破産は認められなくなります。

 

2回目の自己破産では同時廃止にはなりにくい

自己破産の手続には、同時廃止事件と管財事件という2つの処理方法があります。
自己破産しようとする人の財産状況などから、いずれの事件として取り扱うこととなるかが判断されます。

 

同時廃止事件とは

同時廃止事件とは、破産手続きの開始と同時に破産手続きの廃止が決定され、免責が決定する手続きをいいます。
手続きの開始と終了が同時であるため、このように呼ばれるのです。

 

同時廃止事件となるのは、換価して処分できるような財産がまったくなく、免責不許可事由にも該当しない場合です。

 

このような場合には、いくら財産を調べても、債権者に返済することのできる金銭が増えることはありません。
そのため、手続きに時間をかけずにすぐに終結させることが可能となるのです。

 

手続が大幅に簡略化されるため、同時廃止事件となる場合は、破産手続にかかる費用は安くなります。
そして実際に、1回目の自己破産については、同時廃止事件となるケースも数多くあるのです。

 

管財事件とは

管財事件とは、破産の申立てを行った人の財産を、破産管財人がすべて管理して現金に換えていき、債権者に弁済する手続きです。
また、破産手続きを開始するにあたって、借金をした理由、破産に至った状況や生活状態について問われる破産審尋が行われます。

 

このような手続きにより、破産が認められない場合もあるなど、同時廃止事件より免責を得る条件は厳しくなります。

 

管財事件となった場合、破産管財人に対する支払いが発生するなどの違いがあるため、手続きにかかる費用は高くなります。
また、手続きが完了するまでの時間も同時廃止事件よりかかるのが一般的です。

 

1回目の自己破産であっても、換価する財産がある場合や、免責不許可事由に該当する場合は、管財事件として進められるのです。

 

2回目の自己破産は管財事件となる可能性が高い

2回目の自己破産については、同時廃止事件となるのか、管財事件となるのか、いずれなのでしょうか。

 

実は、免責不許可事由に該当するため、2回目の自己破産については、ほとんどの場合、管財事件として手続きが進められます
そのため、1回目の自己破産の時より手続きにかかる費用が高くなることが多いのです。

 

1回目の自己破産が同時廃止事件であり、2回目が管財事件となる場合には、当然その費用は高くなります。

一方、1回目の自己破産が管財事件であったとしても、2回目の場合はすんなりと自己破産が認められるわけではありません。

 

そのため、2回目の自己破産が認められるように、弁護士との打ち合わせや資料作りに時間がかかるケースもあります。

このような事情があるため、2回目の自己破産については1回目より費用が高額になることが多いのです。

 

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自己破産による引っ越し制限以外のデメリット

こんにちは、行政書士のKです。

 

自己破産した場合であっても、引っ越しできなくなるわけではないことがわかりました。

ただ、このほかに自己破産すると発生するデメリットがあります。

そこで、引っ越しが制限されること以外のデメリットについて確認しておきましょう。

 

引っ越しが制限されること以外のデメリット

ローンやクレジットカードの利用ができなくなる

自己破産をすると、その情報は信用情報機関に登録されます。
信用情報機関に登録された情報は、銀行や消費者金融、クレジットカード会社などが共有することになります。

そのため、自己破産の時に借入をしていた会社だけでなく、すべての金融機関やクレジットカード会社で審査が通らなくなります

 

その結果、以前から保有していたクレジットカードについては、それ以後一切利用できなくなります。

また、新たな会社との契約もできなくなります。

しかも、自己破産した直後だけでなく、その後5年~10年にわたってその影響が出ることとなるのです。

 

財産を没収されてしまう

自己破産の手続きは、破産者の財産をほぼすべて没収する代わりに、借金などの債務をゼロにするというものです。

単に手続きをすれば、借金がすべてゼロになるというわけではありません。

 

自己破産をする場合には、お金に換える価値のある財産はすべて没収されて、債権者への返済にあてられるのです。

そのため、マイホームを持っていた場合やマイカーを持っていた場合には、その土地・建物や車は没収されます。

 

また、自己破産の手続きに入る以前の段階で、住宅ローンやマイカーローンの返済に行き詰まっている場合もあります。

 

この場合、土地・建物や車には抵当権が設定されているため、自己破産より前の段階で差し押さえられることもあります。

 

いずれにしても、借金の返済に行きづまってしまった場合、これらの財産を保持し続けることは難しいのです。

 

 

職業について制限される場合がある

自己破産の手続きを行っている間は、職業について一定の制限が設けられています。

具体的には、免責許可決定を受けるまでの期間、弁護士や司法書士、税理士などの士業に就くことが一時的に停止されます。

 

また、警備業や貸金業、宅地建物取引業など多くの職業についても、破産手続き中の者はできないとする規定があります。

これらの制限は、引っ越しの場合と同じく免責許可決定が出るまでの期間であり、一時的なものではありますが注意が必要です。

 

このほか、会社の役員となっている人は、自己破産手続きの開始とともに自動的に解任されることとなります。

役員を継続するのであれば、すぐに再任の手続きを行う必要があるのです。

 

 

官報に掲載される

官報とは、国が広く一般に知ってもらうための情報を載せる書類です。

破産手続きをスムーズに進めるため、個々の破産者の情報を国が公表しているのです。

とは言っても、多くの人にとって、官報自体を目にする機会はほとんどないと思われます。

 

実際に官報をチェックしているのは、多くが金融機関の方です。

信用情報機関から情報を得られる金融機関などに官報の内容を知られても、そのこと自体には大きな影響はありません。

 

 

保証人に請求がいく

債務の契約者が自己破産して債務の返済義務が消滅すると、債権者は保証人に対して返済を求めることとなります。

そのため、家族が保証人になっている場合、その家族も一緒に自己破産せざるを得ない状況になるのです。

 

 

自己破産をしても影響が出ない部分

自己破産して何らかの影響が出ると思っていたのに、実際には何も影響が出ないこともあります。

自己破産しても変わらないもの、そして自己破産しても消滅しない債務について解説します。

 

自己破産しても変わらないもの

自己破産する際に心配している方が多いのが、会社をクビになるのではないかとか、誰かに知られるのではということです。

確かに、官報に掲載されるため、何らかの形で目に触れる可能性はゼロではありません。

 

しかし、実際に官報を見ている人は特定の業種の方以外はいないため、その心配はほとんどありません。

そのため、勤務先に知られてクビになるということも、まずないのです。

 

また、自己破産したことが家族に影響することもありません。
自己破産により、家族の財産が没収されたり、家族のクレジットカードが使えなったりすることはないのです。

 

マイホームが差し押さえられた場合には、新たに賃貸契約を結ぶこととなりますが、契約できなくなることはありません。

これは携帯電話の契約に関しても同様のことが言えます。

 

 

自己破産しても消滅しない債務

税金や公的年金、健康保険料の支払いを滞納している場合には、自己破産してもその未払金額が消滅することはありません。

 

また、養育費の支払い義務や損害賠償義務についても、自己破産では消滅しないこととされています。

自己破産すれば、すべての債務がゼロになるというわけではないため、注意が必要です。

 

 

 

自己破産すると、これまで自由にできたことができなくなると考え、二の足を踏んでいる人もいると思います。

確かに、新たな借金はできなくなりますし、クレジットカードも使えなくなります。

 

しかし、これらは自己破産後に新たな借金を作らないためには必要なことであり、プラスにとらえることができるのです。

 

また、引っ越しや出張・旅行といった移動については一定の制限を受けますが、手続きをすれば可能となります。

 

厳しい制限ではないため、手続きだけはしっかり事前に行っておくようにしましょう。

 

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自己破産をすると引っ越しに制限がかかる?

こんにちは、行政書士のKです。

 

今回は、自己破産をすると引っ越しに制限がかかるのかについて解説していきます。


自己破産中は引っ越しに制限がかかる

自己破産すると自由に引っ越しをすることができなくなると言われることがありますが、これは本当でしょうか。
結論から言うと、これは本当ですが正確な表現とは言えません。

はたして、自己破産するとどのような場合に引っ越しについての制限を受けることとなるのでしょうか。

 

 

引っ越しの制限を受けるのは管財事件の場合のみ

最初に知っておかなければならないのは、自己破産した場合にすべての人が引っ越しの制限を受けるわけではないことです。
自己破産の手続きには、管財事件と同時廃止事件の2つの方法があることは最初にご紹介しました。

このうち、引っ越しの制限を受けるのは、管財事件の場合のみです。
したがって、同時廃止事件となった場合は、引っ越しの制限を受けることはないのです。

 

管財事件の場合に引っ越しの制限を受けるのは、自由に移動することを認めると、破産手続きに支障がでるおそれがあるためです。

たとえば、手続きの途中で連絡が取れなくなってしまったり逃亡したりすることは認められません。
また、破産する際に財産を隠して、勝手に処分することも許されません。

遠くに引っ越すことは、このような行為を助長する可能性があるため、制限が加えられているのです。

 

ただ、同時廃止事件となった場合は、裁判所により破産手続きの開始が決定されると同時にその手続きの終了が決定します。
そのため、引っ越しすることに制限を加える必要はないとされているのです。

 

 

制限を受ける期間は決まっている

管財事件となった場合、実際に引っ越しが制限されるのは、いつからなのでしょうか。

これについては、裁判所での手続きによりその期間が明確に決められています。

 

自己破産しようとする人は、裁判所に破産の申立てを行うことでその手続きが開始されます。

ただ、この時点では、破産手続きが本当に開始されるのか、あるいは管財事件になるのか同時廃止事件になるのかはわかりません。

そのため、この時点で引っ越しについての制限を受けることはありません。

 

その後、裁判所により破産手続開始決定が出されます。

同時廃止事件となる場合は、この時一緒に、破産手続きの廃止が決定され、すべての手続きは終了します。

一方、管財事件となる場合は、ここから破産管財人を選任し、財産の調査、財産の換価などの手続きが始まります。

つまり、管財事件となる場合は、破産手続開始決定が出されてから引っ越しについて制限を受けることとなるのです。

 

すべての財産について処理が終わると、裁判所から免責許可決定が出されます。

これにより、債務の返済義務が正式に消滅し、破産手続きは終結します。

引っ越しについての制限も、免責許可決定が出されることで終了します。

一般的に、破産手続開始決定から免責許可決定までの期間は、3か月~6か月と言われます。

つまり、この間は勝手に引っ越しすることができなくなるということになります。

 

また、この制限の内容は、勝手に引っ越しすることが制限されるだけではありません。

居住地を勝手に離れることはできないという内容であるため、引っ越し以外にも制限される場合があります。

たとえば、長期間の出張は、その居住地を長い間離れることになるため、自由にすることはできません。

また、海外旅行の場合も、やはり居住地を離れるため、制限を受けることとなるのです。

 

 

許可を受ければ引っ越し自体は可能

自己破産が管財事件となった場合、破産手続開始決定から免責許可決定までの期間について、勝手に引っ越すことはできません。

しかし、勝手に行うのでなければ、引っ越しをすること自体は可能です。

実際に引っ越しをする前に、破産管財人の同意を得たうえで、裁判所に許可をもらえばそれでいいのです。

裁判所は短時間で許可を出してくれるので、実際に引っ越しをして住民票が変わったら、住所変更の届け出を行います。

 

裁判所に許可を求めた場合、裁判所の許可が得られないケースはほぼありません

また、破産管財人が同意してくれないということもほとんどないため、実際には手続きを始めて数日後には引っ越しができるのです。

特に、転勤のため、家賃が安い家が見つかったなどの理由であれば、それを認めない理由はないのです。

 

なお、出張や海外旅行などの場合も、事前に裁判所の許可をもらう必要があります。

こちらについても、厳しく審査されるわけではなく、申請すれば認められるケースがほとんどです。

 

一方で、事前に裁判所の許可を得ずに引っ越してしまった場合については、2通りの対応が考えられます。

引っ越さざるを得ない理由があって引っ越したのに、うっかり許可をもらうのを忘れていた場合は、すぐに裁判所に報告しましょう。

こうすれば、情状酌量が認められ、大事には至らない可能性があります。

 

しかし、引っ越すことに合理的な理由もなく勝手に引っ越した場合は、この限りではありません。

最悪の場合、免責が許可されないこととなり、借金がそのまま残ってしまう可能性があります。

事前に許可をもらえば何事もなかったというようなケースでも、許可をもらい忘れたために大変なことになる場合があるのです。

 

 

自己破産後は引っ越しの制限がなくなる

管財事件として処理された手続きが完結すると、引っ越しを自由にすることができるようになります。

これは、免責許可決定が出たことで、自由に引っ越しすることを妨げる理由が何もなくなるためです。

 

また、自己破産をした後でも、賃貸借契約を結ぶことはできます。

自己破産した経験があるかどうかは、入居の際の審査には一切関係がないのです。

ただ、破産後に無職となって収入がない場合は、収入が少ないことを理由に契約を断られる可能性はあります。

ただ、これは自己破産したことがあるかどうかとは一切関係がない話なので、勘違いしないようにしましょう。

 

なお、自己破産した人も賃貸借契約を結ぶことに支障はありませんが、別の点で問題が発生する可能性はあります。

それは、クレジットカードを利用することができなくなることです。

家賃の支払いにクレジットカードを利用することが求められる場合がありますが、そのような物件は契約できないのです。

必ず、口座振り込みで対応可能な物件を選択するようにしましょう。

 

また、契約の際に保証人を求められますが、信販系の保証会社を利用するように求められることがあります。

この場合、自己破産した経験があると、その保証会社の審査に通らないということも考えられるため、注意が必要です。

 

今回はここまでとします。それではまた次回

 

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うつ病で債務整理はできる?行政書士が徹底解説!

2021年も、もう1ヶ月が過ぎようとしていますね。

 

お久しぶりです。司法書士のKです。

 

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

今回、私が解説していくのは、うつ病の状態で債務整理は出来るのか、借金苦によってうつ病になってしまったらどうすべきなのかといった事柄です。

 

悲しいことですが、債務整理をしていく中でうつ病になってしまう方は決して珍しく有りません。

 

借金をすることもうつ病になることも下手したら明日は我が身かもしれませんよね。

 

なので、今回はこのテーマで執筆させていただきます。

 

まず、うつ病とは具体的にどのような状態のことを指すのでしょうか。

 

日本において、年々患者数が増加しているうつ病うつ状態ですが、これは、抑うつ状態や不安が数週間続く状態を指しています。

 

実際には精神科医の診断によって変わってきますが、診断分類としては、抑うつ、意欲減退、不安この3つがうつ病を構成しているとされています。

 

では、そんなうつ病の状態で債務整理することは可能な否かについて解説します。

 

結論からするとうつ病の状態でも、債務整理を行うことに何ら支障はありません。

 

それもそのはず、債務整理では借金が出来た原因や現在の精神状態は問われません。

 

なので、うつ病の方、もしくは借金苦の中でうつ病になってしまった方でも問題なく債務整理をすることが可能です。

 

任意整理、自己破産、個人再生の3つから成る債務整理ですが、うつ病だからといって不利益を被ることはありませんよ。

 

債務整理をする方でうつ病の場合、2パターンに分類することができます。

 

まずは、うつ病から借金を重ねてしまったパターンです。

 

うつ病によって休職し借金、あるいは双極性障害の躁状態のときに多額の借り入れをしてしまい借金を重ねてしまうことはよくあることです。

 

もう1つのパターンであるのが、借金を重ねていくうちにうつ病になってしまったパターンです。

 

うつ病は心理的に過度なストレスを抱えると発症してしまいます。

 

なので、借金を返さないといけないという思いがストレスとなり、うつ病につながってしまうのです。

 

どちらにしても、債務整理にはなんら影響はないので安心しましょう。

 

では、うつ病の方が債務整理をおこなう場合、どの方法を取るのがよいのでしょうか。それぞれのパターン別に見ていきましょう。

 

まずは、最もポピュラーな債務整理である任意整理です。

 

任意整理とは、裁判所の許可をもらい借金を減免、分割して支払う方法ですね。

 

分割してでも支払っていかないといけないので、うつ病の方にはあまり向いていない方法になります。

 

自己破産は、うつ病の方にも適している債務整理の方法です。

 

自己破産と聞くとネガティブなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、借金が完全になくなり返済義務がなくなる自己破産はとても魅力的です。

 

また、自己破産をするにあたって、原因を上申しなければなりませんが、この際、うつ病のため借金を重ねてしまったという理由にすれば、問題なく通ります。

 

個人再生は、任意整理と自己破産、両方のメリットとデメリットを持ち合わせている債務整理の方法です。

 

基本的には任意整理に近く、借金を分割して支払うことになります。

 

ただし、うつ病が原因で休職中、もしくは働けないなどの理由で借金を重ねた場合は個人再生が認められない可能性があります。

 

今回はうつ病の状態における債務整理について、徹底的な解説をしてきました。

 

いかがだったでしょうか。

 

うつ病でも債務整理は問題なくおこなえる点、おすすめとなるのは自己破産、といったことが分かっていただけましたか。

 

うつ病で債務整理をする際はぜひお近くの行政書士に相談してみてくださいね。

 

では、また。

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お金がない時の最終手段!名義貸しのメリットとデメリット

あけましておめでとうございます。

 

みなさんは、無事に2021年を迎えることができましたでしょうか。

 

こんにちは、行政書士のKです。

 

今回は、多重債務者の方が債務整理をしていく中で、手を染めやすい名義貸しについて

 

その意味からメリットとデメリットについて詳しく解説していきたいと思います。

 

まず、名義貸しとは一体どのようなことでしょうか。

 

簡単に説明するならば、文字通り、名義を貸すということです。

 

もともとは、株式市場において、顧客に会社の名義を貸して株式取得を代行する作業などのことを指していました。

 

しかしながら、その意味での名義貸しは数十年も前になくなっています。

 

2021年の日本において、名義貸しと呼ばれるのは、実際の当事者ではない方が、他の人に依頼されて契約を結ぶ行為のことです。

 

自分の名義を承知の上で他者に貸し出し、クレジットカードなどの契約をおこない、そのカードを他者が使ったりします。

 

では、名義貸しにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

名前を貸す側のメリットとなるのは、一時的に報酬を受け取れる点です。

 

名前を貸す以上、金銭のやり取りが発生しやすいです。

 

例えば、多重債務者の方であったならば、その一時的な金銭で糊口をしのぐこともできるでしょう。

 

その意味では、一時的な報酬はメリットになります。

 

また、名前を貸す相手との関係性を維持、もしくは良好にすることができるのもメリットです。

 

頼まれてどうしようもなく、名義貸しをおこなった場合はこれに該当するでしょう。

 

ですが、名義貸しにはこのようなメリット以上のデメリットが存在します。

 

まず、名義を貸した相手が金銭を返すとは限らない点です。

 

借りられた債権者からすれば、借りたのは名義を貸してもらった側ではなく、名義を貸した側です。

 

なので、法的にも返済義務が発生するのは名義を貸した側になります。

 

こうして、自分自身が多重債務者になってしまい、債務整理を検討しなければならないというケースに発展する方もいます。

 

もともと、多重債務者であった場合は、返済できない額が増えすぎて自己破産を検討する必要性が出てくるでしょう。

 

そういったデメリットがあるので、名義貸しはよほどのことがない限り、してはいけないことです。

 

いかに、自分が名前を貸しただけで借り入れた張本人ではないと主張したとしても、債権者からすれば言い訳にすぎなく、名義を貸した側は借金を返さないといけません。

 

また、支払い義務が発生しているにも関わらず、自分は名義を貸しただけだと無視し続けた場合にもデメリットが発生します。

 

まず、起こるのがブラックリストへの登録です。

 

金融機関やクレジットカードの信用情報機関にブラックリストとして登録され、新たな融資を受けることができなくなってしまいます。

 

ほかにも、詐欺事件に名義を貸された側が関わっていた場合は、その幇助に問われる可能性もあります、

 

そもそも、名義貸し自体が詐欺罪に問われた判例結果もあるので、刑事事件に発展する危険性は十二分にあることを理解した上で、名義を貸す必要があるでしょう。

 

こういったことが起きないように、名義貸しをどうしてもおこなわくてはならないときなどは、きちんと文書に書き起こして、契約や返済義務の確認をしておきましょう。

 

今回は、名義貸しについてその意味とメリット、デメリットを解説してきました。

 

いかがでしたか。

 

名義貸しには、一時的に報酬を受けられたり、信頼関係の構築ができるメリットがある一方で、最悪の場合詐欺罪に問われてしまうほどのデメリットがあることが、分かっていただけましたか。

 

借金で首が回らなく、どうしようもなくなったとしても名義貸しをする前に、司法書士などに相談してみてくださいね。

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債務整理の消滅時効の援用とは?

ついに年末の忙しい時期へとなってきましたね。

 

こんにちは、行政書士のKです。

 

今回は、知っていると得する借金の消滅時効、そしてその援用について解説していきます。

  

まず、皆さんは借金にも時効があるとご存知でしたか?

 

この情報を知ったら、借金に時効があるなら返さなくていいや!と思われる方もいます。

 

しかし、時効があるといっても金銭のやり取りです。

 

そこには難しい法律の壁が立ちはだかってきます。

 

たしかに借金にも時効があるケースがあります。

 

その場合の時効を借金の消滅時効と呼び、返済の義務がなくなるというのが特徴です。

 

ただ、債務者が長期滞納をしただけで借金の消滅時効が発生するわけではありません。

 

時効期間が過ぎたとしても時効の援用と呼ばれる手続きをしなければ、消滅時効は効力を成さないためです。

 

では、具体的に借金の消滅時効とその援用はどのようにして運用されているのでしょうか。

 

お金を貸したら返してもらうというのは当然の権利ですが、この滞納が一定期間続くと返済義務がなくなる消滅時効が発生します。

 

借りた側からすると返済する義務がなくなるので願ったり叶ったりですね。

 

ただし、法律上の期間を過ぎただけでは、借金の消滅時効は効果がありません。

 

有効にするためには、消滅時効の援用と呼ばれる手続きをします。

 

なぜ、このような制度があるのかというと、人によっては時間が経っても返済していきたいと思われる方がいるので、手続きをしなければ、返済義務がなくなるということにしているわけです。 

 

あくまでも、消滅時効とその援用を行使するのかは、それぞれの債務者の判断に任せられているということですね。

 

つまり、消滅時効の援用で、まず求められてくるのが意思表示です。

 

この意思表示をする相手は、お金を借りた相手、債権者になります。

 

伝え方には色々な方法があります。

 

まず、口頭で伝える方法ですね。

 

しかし、借金を返さないと借りた相手に宣言するわけですから、口頭は難しいという方もいるでしょう。

 

そんな時は、証拠を残す意味合いもあわせて内容証明郵便で伝えましょう。

 

このときには、きちんと消滅時効というワードを使用して返さないことを宣言する必要があります。

 

借金を返さないと宣言するだけでは、消滅時効のことを指しているわけではありませんので、注意することも必要ですね。

 

消滅時効の期限とは具体的にどのようになっているのでしょうか、解説します。

 

法律上、消滅時効が設定されるのは、権利を行使できるようになってからです。

 

例えば、100万円を1年後に返す契約で借り入れした場合、1年後の返済義務発生時点から消滅時効を数えることになります。

 

債権者はこうした消滅時効に対して、請求、強制執行、承認の3つで対抗することが可能です。

 

請求とは、単純に返してほしいと意思表示をすることですが、これだけでも消滅時効は延びてしまいます。

 

また、強制執行では、裁判所の許可を得て差し押さえなどのアクションを起こせます。 

 

ここまで読まれた方はどうやれば消滅時効を確認できるの?と思われるかもしれません。

 

消滅時効を確認できる方法は唯一です。

 

そう、債権者に問い合わせるほかにないのです。

 

しかし、債権者に問い合わせることで消滅時効の更新といった対抗措置を取られる可能性が高くなります。

 

なんにしても、借金は返していったほうがよりよい未来に繋がることでしょう。

 

今回、借金の消滅時効とその援用について解説してきました。

 

いかがだったでしょうか。

 

借金には消滅時効があるが、援用をしなければならないこと、そして債権者は対抗措置を起こすことができることが分かっていただけたでしょうか。

 

もし、借金に困ったらとりあえず最寄りの行政書士に相談してみてくださいね。

 

では、さようなら。

 

 

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