自己破産による引っ越し制限以外のデメリット

こんにちは、行政書士のKです。

 

自己破産した場合であっても、引っ越しできなくなるわけではないことがわかりました。

ただ、このほかに自己破産すると発生するデメリットがあります。

そこで、引っ越しが制限されること以外のデメリットについて確認しておきましょう。

 

引っ越しが制限されること以外のデメリット

ローンやクレジットカードの利用ができなくなる

自己破産をすると、その情報は信用情報機関に登録されます。
信用情報機関に登録された情報は、銀行や消費者金融、クレジットカード会社などが共有することになります。

そのため、自己破産の時に借入をしていた会社だけでなく、すべての金融機関やクレジットカード会社で審査が通らなくなります

 

その結果、以前から保有していたクレジットカードについては、それ以後一切利用できなくなります。

また、新たな会社との契約もできなくなります。

しかも、自己破産した直後だけでなく、その後5年~10年にわたってその影響が出ることとなるのです。

 

財産を没収されてしまう

自己破産の手続きは、破産者の財産をほぼすべて没収する代わりに、借金などの債務をゼロにするというものです。

単に手続きをすれば、借金がすべてゼロになるというわけではありません。

 

自己破産をする場合には、お金に換える価値のある財産はすべて没収されて、債権者への返済にあてられるのです。

そのため、マイホームを持っていた場合やマイカーを持っていた場合には、その土地・建物や車は没収されます。

 

また、自己破産の手続きに入る以前の段階で、住宅ローンやマイカーローンの返済に行き詰まっている場合もあります。

 

この場合、土地・建物や車には抵当権が設定されているため、自己破産より前の段階で差し押さえられることもあります。

 

いずれにしても、借金の返済に行きづまってしまった場合、これらの財産を保持し続けることは難しいのです。

 

 

職業について制限される場合がある

自己破産の手続きを行っている間は、職業について一定の制限が設けられています。

具体的には、免責許可決定を受けるまでの期間、弁護士や司法書士、税理士などの士業に就くことが一時的に停止されます。

 

また、警備業や貸金業、宅地建物取引業など多くの職業についても、破産手続き中の者はできないとする規定があります。

これらの制限は、引っ越しの場合と同じく免責許可決定が出るまでの期間であり、一時的なものではありますが注意が必要です。

 

このほか、会社の役員となっている人は、自己破産手続きの開始とともに自動的に解任されることとなります。

役員を継続するのであれば、すぐに再任の手続きを行う必要があるのです。

 

 

官報に掲載される

官報とは、国が広く一般に知ってもらうための情報を載せる書類です。

破産手続きをスムーズに進めるため、個々の破産者の情報を国が公表しているのです。

とは言っても、多くの人にとって、官報自体を目にする機会はほとんどないと思われます。

 

実際に官報をチェックしているのは、多くが金融機関の方です。

信用情報機関から情報を得られる金融機関などに官報の内容を知られても、そのこと自体には大きな影響はありません。

 

 

保証人に請求がいく

債務の契約者が自己破産して債務の返済義務が消滅すると、債権者は保証人に対して返済を求めることとなります。

そのため、家族が保証人になっている場合、その家族も一緒に自己破産せざるを得ない状況になるのです。

 

 

自己破産をしても影響が出ない部分

自己破産して何らかの影響が出ると思っていたのに、実際には何も影響が出ないこともあります。

自己破産しても変わらないもの、そして自己破産しても消滅しない債務について解説します。

 

自己破産しても変わらないもの

自己破産する際に心配している方が多いのが、会社をクビになるのではないかとか、誰かに知られるのではということです。

確かに、官報に掲載されるため、何らかの形で目に触れる可能性はゼロではありません。

 

しかし、実際に官報を見ている人は特定の業種の方以外はいないため、その心配はほとんどありません。

そのため、勤務先に知られてクビになるということも、まずないのです。

 

また、自己破産したことが家族に影響することもありません。
自己破産により、家族の財産が没収されたり、家族のクレジットカードが使えなったりすることはないのです。

 

マイホームが差し押さえられた場合には、新たに賃貸契約を結ぶこととなりますが、契約できなくなることはありません。

これは携帯電話の契約に関しても同様のことが言えます。

 

 

自己破産しても消滅しない債務

税金や公的年金、健康保険料の支払いを滞納している場合には、自己破産してもその未払金額が消滅することはありません。

 

また、養育費の支払い義務や損害賠償義務についても、自己破産では消滅しないこととされています。

自己破産すれば、すべての債務がゼロになるというわけではないため、注意が必要です。

 

 

 

自己破産すると、これまで自由にできたことができなくなると考え、二の足を踏んでいる人もいると思います。

確かに、新たな借金はできなくなりますし、クレジットカードも使えなくなります。

 

しかし、これらは自己破産後に新たな借金を作らないためには必要なことであり、プラスにとらえることができるのです。

 

また、引っ越しや出張・旅行といった移動については一定の制限を受けますが、手続きをすれば可能となります。

 

厳しい制限ではないため、手続きだけはしっかり事前に行っておくようにしましょう。

 

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