休眠会社のメリットとデメリット

こんにちは、行政書士のKです。

 

休眠会社とすることは、廃業(解散・清算手続き)よりも、手続きが簡単で費用もかからないというメリットがありますが、もう一度休眠会社のメリット・デメリットを確認しておきましょう。

 

休眠のメリット

休眠させる手続きも、事業を再開させる手続きも、どちらも税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所に「異動届出書」を提出するだけで費用もかからないというのが、一番のメリットでしょう。

 

また、休眠期間中は基本的に税金がかかりません。
事業活動を停止していますから、事業所得に課税される法人税、法人事業税、消費税、法人住民税の所得割といった税金はかかりません。

 

さらに、法人の場合は社会保険の加入義務がありますが、休眠期間中は国民年金、国民健康保険に切り替えを行えば社会保険料の負担を軽くすることが可能です。
なお、切り替えに際しては、年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険適用事務所全喪届」を提出しなければなりませんので、ご注意ください。

 

株式会社の場合は、休眠期間中であっても役員の任期満了に伴う役員変更登記が必要で、変更登記等を行わず12年経過してしまうと「みなし解散」とされてしまいますが、合同会社は役員任期がないため、このような「みなし解散」制度が適用されることはありません。

 

休眠のデメリット

休眠期間中であっても納税義務はなくなりませんので、休眠前に未払いの税金がないか確認しましょう。

 

合同会社名義で不動産を所有している場合は、毎年固定資産税もかかります。
また、休眠期間中でも法人住民税の均等割は課税されますので、休眠前に休業届を提出し自治体からの免除、減額を受けられるようにしてください。

 

休眠会社は、事業活動を停止しているだけで、登記上の合同会社は存在したままですから、決算期には毎回確定申告を行う必要があります。

 

会社を休眠させているからといって、完全に放置しておけるわけではないということがデメリットでしょう。

 

休眠会社にするときの注意点

合同会社の事業活動を停止し休眠会社になったとしても、登記上の会社は存在したままですから、原則として税金が発生します。

 

事業活動を何も行っていない場合、事業所得に課税される法人税、法人事業税、消費税、法人住民税の所得割といった税金は発生しません。
しかし、法人住民税の均等割は、会社自体に課税されるものですから、例え事業所得がゼロでも毎年最低額で約7万円の税金が発生します。

 

しかし、休眠届(異動届出書)を提出していれば、自治体によって法人住民税の均等割が免除されたり、減額されたりすることがありますので、しっかりと手続きを行ってから休眠させるようにしましょう。

 

また、基本的に休眠期間中も確定申告(決算申告)が必要となります。
休眠期間中に確定申告を行っていないと、合同会社を復活させようとしたときに、休眠中に発生した税金を遡って請求される可能性があります。
さらに、無申告に関するペナルティとして無申告加算税、延滞税が発生することがありますので、ご注意ください。

 

合同会社を休眠させる前に青色申告で確定申告していた場合、休眠期間中でも2期連続で申告期限内に確定申告を行わないときは青色申告の承認を取り消されます。

合同会社を解散せずに休眠会社とする場合は、休眠前、休眠期間中の手続きをきちんと行うようにしましょう。

 

休眠後に事業を再開させる方法

合同会社を休眠させた後、再び事業を始める場合の方法について説明していきましょう。

 

再開届(異動届出書)の提出

合同会社の休眠状態を解除するために、再開届(異動届出書)を税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所へ提出します。

このときの、再開届(異動届出書)は、休眠させるときに行った手続きと同じです。
再開届も専用の書類があるわけではありませんので、異動届出書の「異動事項等」という欄に事業を再開させる旨と、「異動年月日」の欄に事業を再開する日を記載します。

なお、税務署へ提出する異動届出書の書式は、下記の国税庁のホームページで確認、ダウンロードすることができます。

 

●参考:異動事項に関する届出(国税庁ホームページ)

 

事業再開年度の確定申告

事業を再開させた年度の確定申告(決算申告)を行います。

 

休眠期間中も、毎年度の確定申告を行っていた場合は、特に改めて処理する内容はありませんが、事業所得がないために確定申告を行っていなかったという場合は、各種の確認が必要になります。

 

まず、休眠期間中にお金のやり取りがなかったかを確認しましょう。
事業活動を停止していても、休眠前に発生した売掛金の回収や、減価償却費用が発生している場合があります。
そのようなお金の動きがあった場合は、それらを確定申告で計上しなければなりません。

 

また、税金の滞納などがないかを確認し、滞納が発生している場合は速やかに清算しなければなりません。
税金は、滞納したまま放置してしまうと滞納税が加わるだけでなく、金融機関等からの信用を失うことにも繋がりますので、早めに処理しましょう。

 

また、休眠期間中に確定申告を継続していなかった場合は、青色申告の承認を取り消されている可能性がありますので確認しておきましょう。

 

 

合同会社を休眠させる手続きは、休業届(異動届出書)を税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所へ提出するだけで、費用もかかりません。
事業を再開させる場合の手続も、休眠させるときと同様の手続により再開届(異動届出書)を提出するだけですから簡単です。

 

休眠期間中は、法人住民税の均等割の免除を受けるために、上記手続きをしっかり行い、基本的に毎年確定申告を行うようにしましょう。

 

合同会社の場合、役員の任期がないため、休眠期間中に役員変更登記を行う必要がなく「みなし解散」の制度も適用されません。
ただし、休眠期間中でも納税義務や税務申告義務はなくなりませんので、ご注意ください

 

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