合同会社の休眠方法とは?

こんにちは、行政書士のKです。

 

合同会社とは、株式会社、有限会社といった会社形態の1つですが、アメリカ合衆国各州の州法で認められるLLC(Limited Liability Company)をモデルとして導入されたものです。

 

2006年の会社法施行により始まった会社形態で、合資会社、合名会社と並んで持分会社に分類されます。

一方、休眠とは会社の事業活動を停止させた状態のことを指しますが、登記上の会社は存続したままとなります。

 

合同会社として事業を始めたものの、諸事情によって、一旦事業を休止したいという場合もあるでしょう。
事業を再開させる予定が全くない場合は、法務局で解散・清算結了登記を行わなければなりませんが、休眠であれば登記は不要で、簡単な手続きで何年後かに事業を再開させることが可能です。

 

今回と次回の2回に分けて、合同会社を休眠させる手続き方法と流れについて解説するとともに、会社を休眠させることのメリット・デメリットについても説明します。

 

合同会社の休眠手続きと流れについて

合同会社を休眠させるためには、会社の事業活動を停止させた後、本店所在地を管轄する税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所に休業届を提出します。

合同会社を設立した際には、会社の設立届を上記3か所に提出しているかと思いますので、同じ要領で休業届を提出すれば、休眠の手続きは完了です。

 

届出する書類は、一般的には「休業届」「休眠届」などと呼ばれていますが、これらの専用用紙があるわけではありません。
各所に用意されている「異動届出書」という書類に、会社の事業を停止していることを記載して提出すれば大丈夫です。

 

この「異動届出書」の運用は、各自治体や行政機関によって異なりますが、用紙が複写式になっていて、1か所に提出すれば残りの2か所に自動的に書類が届くようになっている場合もあります。
異動届出書を提出する際には、所轄の自治体に確認を行いましょう。

 

解散・清算と休眠の違いとは

合同会社の事業を停止させたいと考える場合、休眠のほかに解散・清算という方法を選択することもできます。

 

解散・清算とは

合同会社を廃業したい場合は、会社を解散させて清算手続きを行わなければなりません。解散・清算にあたっては、法務局への解散登記、清算結了登記も必要になります。

また、税務署、都道府県税事務所、市区町村役場にも解散届(異動届出書)を提出し、確定申告も行わなければなりません。
これらの解散手続き、清算手続きには、最低でも2ヵ月以上の期間が必要となり、費用もかかります。

 

しかし、将来的に事業を再開させる予定が全くない場合や、休眠中の確定申告等を行うのが面倒という場合は、きれいさっぱりと解散・清算してしまった方が良いかもしれません。
休眠によって、解散・清算手続きを先延ばしにしたいだけという場合も、同じです。

 

事業再開予定があれば「休眠」がおすすめ

合同会社を解散させて清算手続きを行えば、二度と会社を復活させることはできません。しかし休眠であれば、いつでも事業を再開させたいときに会社を復活させることが可能です。

休眠していた合同会社を復活させるための手続きは、休眠させたときと同じように税務署、都道府県税事務所、市区町村役場の3か所に再開届(異動届出書)を提出するだけです。

 

また、合同会社の場合、株式会社と違って役員の任期の規定はありませんので、休眠期間中に役員の任期満了に伴う役員変更登記を行う必要がなく、「みなし解散」の対象にもなることはありません。

 

このようなことから、例えば経営者自身の体調が悪く一旦事業を休止したい、経済環境などの要因で事業の継続は難しいが将来的には事業を再開させたいといった場合、解散させずに休眠会社とする方が良いでしょう。

 

ただし、費用がもったいない、解散の手続きが面倒そうといった理由だけで、会社を休眠させて放置することはおすすめできません。
休眠期間中も完全に放置できるわけではありませんから、安易な選択は行わないようにしましょう。

 

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