倒産した会社が株式会社であれば、当然株主が存在します。
倒産する会社が、破産手続きを開始したときに、「破産管財人」が会社のすべての財産を換価して、債権者に配当することになります。
破産管財人は裁判所が選任します。
大抵は弁護士が選ばれます。
この破産管財人が債権者に配当すべき財産を集め、管理・処分する形を「破産財団」
と呼びます。
破産者に対する債権は「財団債権」と「破産債権」の2つの分類があります。
財団債権の債権者は「財団債権者」と呼びます。
ちなみに財団債権以外の債権は破産債権です。
ところで、債権者とはいったい誰のことでしょうか?
この場合の債権者は会社に対して、債権を持っている人たちのことです。
例えば、その会社代表者や役員(会社からの報酬を受けていない場合)、倒産時に未払い賃金があれば従業員や労働者、資本金などを出資している社員や会社の株主、取引の相手方や顧客についても債権者になりえます。
これらの債権者のことを、「利害関係人」ともよびます。
会社が破産手続きを開始すると、会社に対して債権を有している債権者は個人で、破産会社に対して、債権を請求することについて制限を受けてしまいます。
そして、債権者集会などを経たうえで、配当によってのみ、債権回収を図ることができることが原則です。
ただし、「財団債権者」は、配当を受けるのを待たずに財団債権の回収を行うことができます。
公益性や、重要な債権であるという理由で支払う優先度が高い債権が財団債権として扱われます。
そうして、「債権者集会」が開かれますが、
債権者集会に参加するのは、
・裁判官
・破産管財人
・破産者(経営者・代表取締役など)
・破産者の代理人たる弁護士
・債権者
となります。
債権者集会は、債権者に対して、破産手続きの進捗状況を説明する機会であるとともに、債権者から意見を聞く場でもあります。
裁判所で開かれます。
債権者集会の流れとしては、破産管財人からの破産会社の財産についての進捗状況の報告があります。
そのあと、破産者について免責をさせるかどうかについての意見の申述があります。
次に,意見があれば申立人の弁護士が意見をのべ、特に問題がなければ、債権者の質疑応答の時間を取ります。
その後、破産会社の財産の計算や配当についての報告があり
裁判官が事件終了の決定をします。
通常はこれで債権者集会は終了します。
債権者集会を何回おこなわなくてはいけないかについてですが、これについては特に規定はなく、1回で終わる場合もあれば、4回程度行われる場合もあります。
複数回、債権者集会を開くと、はじめのころは債権者の人数が多いかもしれませんが、最後には減少する傾向にあるようです。
債権者は一般に会社に出資した債権をすべて回収できるように考えられる人がいらっしゃいますが、破産会社に債務を返済するだけの資力がない場合は、債権全額の回収は困難です。
まとめ
最後になりますが、債務の返済についても注意していただきたい点があります。
それは、一部の債権者にのみ、有利になるように返済をしてはいけないということです。
お世話になった人に優先して債務を返済してあげたいという気持ちは大切ですが、破産手続きを行うということは、会社のすべての財産を債権者に平等に分配しなければならないということです。これを「債権者平等の原則」といいます。
破産手続きでは、破産管財人が、会社のすべての財産を調査・換価して、債権者に配当することになります。
このきまりを守らなければ、仮にお世話になった人に優先的に債務の弁済ができたとしても、その方が後にあらぬトラブルに巻き込まれるかもしれません。
破産手続きを検討されている人は債権者平等の原則を十分に頭に入れて勝手な判断をせずに、破産手続きを進めていくことが、債権者に対する誠意になると思います。